COURSE OF HISTORY

1919~
レンズメーカーとしての出発

大正8年、「旭日光学工業合資会社」としてはじまったペンタックスの歴史。掛眼鏡や双眼鏡、映写機用レンズの製造からその後のカメラ用レンズの開発設計、製造へと活躍の場を広げていくなかで、常に高い評価を得てきたのは、レンズのコーティング技術でした。

  • 1919
    「旭光学工業合資会社」設立
    創立者 梶原熊雄が「旭光学工業合資会社」を東京大塚で創業
    掛眼鏡や双眼鏡レンズの製造を行う
  • 1920
    World events : アメリカで世界初のラジオ放送が始まる
  • 1923
    国産初となる映画用映写レンズ「AOCO」を製作
  • 1927
    World events : リンドバーグによる初の単独大西洋無着陸横断飛行が実現
  • 1930
    • World events : 第1回サッカー・ワールドカップがウルグアイで開催
    • World events : C・W・トンボーが冥王星を発見
  • 1931
    • 国産カメラレンズの設計を初めて完成
    • 六桜社(現:コニカミノルタ)のフォールディングカメラ「パーレット」にレンズを供給
  • 1934
    巣鴨新田に新工場建設
  • 1938
    「旭光学工業株式会社」設立
  • 1939
    World events : 第二次世界大戦が始まる
  • 1940
    • 大山工場竣工
    • 千代田光学精工(現:コニカミノルタ)のプロマーレンズを製作
  • 1946
    終戦後に操業再開。双眼鏡用レンズやカメラ用レンズの加工、研磨を行う
  • 1948
    ミクロン双眼鏡「6×15ジュピター」を発売
    ミクロン双眼鏡「6×15ジュピター」
  • 1950
    三和商会「マイクロカメラ」のレンズを製作。当時からレンズコーティングの技術が高く評価される

column 1

進化を続けるペンタックスのレンズコーティング技術

1950年代、他社製品向けのレンズを製作していた頃からコーティング技術を高く評価されてきたペンタックス。これまでに、世界初の多層膜コーティング「スーパー・マルチ・コーティング」をはじめ、さまざまなコーティング技術で表現力に磨きをかけてきました。なかでも代表的なものを紹介します。


エアロ・ブライト・コーティング

エアロ・ブライト・コーティングは、ナノテクノロジーから生まれた最新のレンズコーティングです。通常のマルチコーティングの上に、均質な空隙を持つシリカエアロゲル層をコーティング。安定したシリカナノ粒子の間に屈折率の低い空気を取り込むことで、超低屈折率・高透明度のコーティングを実現。表面反射を大幅に低減しました。さらに、新たな超低屈折率膜形成プロセスにより、低反射特性を向上させたエアロ・ブライト・コーティングIIを開発しました。

エアロ・ブライト・コーティング図解

HDコーティング

一般的にマルチコーティングは、真空蒸着によってレンズ表面に薄膜を形成しています。しかし、コーティング膜の密度を高めるのが難しく、膜厚と屈折率のバラツキが生じるという、製法上の課題がありました。これを独自の特殊製法で解決したのがHDコーティングです。高密度の膜を、ナノメートルのオーダーで高精度に形成。設計上の膜厚を精確に実現することで、可視光全域にわたり反射率を大幅に低減しました(従来のマルチコーティングに対し50%以下)。ゴーストやフレアーの抑制に効果的。また、膜の硬度がきわめて高く、耐久性にも優れています。

HDコーティング図解

マルチコーティング

ペンタックスの交換レンズには、表面反射を単層膜コーティングの約1/10に低減した、独自のマルチコーティングが施されています。このコーティングにより、可視光線全域にわたって光の透過率を高めるとともに、有害な紫外線をほぼ全面的にカット。逆光などの悪条件でもゴーストやフレアーの発生が少なく、透明感の高い画像を獲得しています。

SP(Super Protect)コーティング

第1レンズの前面に施すことで、レンズの保護に効果を発揮する、ペンタックス独自の特殊コーティングです。撥水性と撥油性にすぐれ、レンズにホコリや水滴、油汚れなどがつきにくくなると同時に、汚れが付着した場合でも、簡単に除去しやすいという特長を兼ね備えています。

1952~ 
一眼レフカメラのパイオニアへ

昭和27年、国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックス I」誕生。以降、その後の一眼レフカメラの標準となる「クイックリターンミラー機構」や世界初の「自動露出」など、数々の革新的な新技術を開発し、カメラメーカーとして確固たる地位を築いていきました。

  • 1952
    「アサヒフレックス I」発売
    タクマー50mmF3.5(アサヒフレックス Iの標準レンズ、マウント径37mm・ピッチ1mmのスクリュー式)、アサヒフレックス専用の初の交換レンズ、タクマー100mmF3.5が登場
    アサヒフレックス I
  • 1954
    • 「クイックリターンミラー機構」を搭載した「アサヒフレックス IIB」を発売
    • World events : 米国で初のカラーテレビ放送が開始
  • 1955
    • 「旭光学商事株式会社」を設立
    • 「アサヒフレックス IIA」を発売
  • 1957
    • 「アサヒペンタックス(通称:AP)」を発売
      ペンタプリズムファインダーを採用し、レンズマウント径を42ミリとした「アサヒペンタックス」を発売
    • World events : 世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功
    アサヒペンタックス(通称:AP)
  • 1958
    フォーカシングスクリーンにマイクロプリズムを採用した「アサヒペンタックスK」を発売
  • 1959
    • 「アサヒペンタックスS2」を発売
    • 旭光学のシンボルマークを制定
    旭光学のシンボルマーク
  • 1960
    • 世界初のTTL測光機構内蔵の一眼レフカメラ「スポットマチック」をフォトキナで参考出品
    • 「クイックリターンミラー」が科学技術庁長官賞を受賞

column 2

一眼レフ技術を飛躍させたTTL化と電子化への挑戦

画期的な一眼レフカメラを数多く手がけてきた歴史のなかで、特に大きな革新といえば、TTL方式の採用と、電子機構の搭載でしょう。ペンタックスの一眼レフカメラは「アサヒペンタックス S3」の着脱式電子露出計との連動を皮切りに、約10年の間で、よりスマートかつ扱いの容易な一眼レフカメラへと進化していくことになります。


ASAHI PENTAX S3 製品イメージ

ASAHI PENTAX S3 (1961)

シャッタースピードと連動する着脱式の電気露出計「ペンタックスメーター」が実現。

ASAHI PENTAX SV 製品イメージ

ASAHI PENTAX SV (1962)

セルフタイマーを内蔵。フィルムカウンターが、裏蓋の開閉と連動した自動復元式に。

ASAHI PENTAX SP 製品イメージ

ASAHI PENTAX SP (1964)

レンズを通った光を測定する、平均測光式の「TTL露出計」を初めて内蔵した。

ASAHI PENTAX ES 製品イメージ

ASAHI PENTAX ES (1971)

光量記録回路と電子シャッターを採用した、世界初の絞り優先オート(AV)一眼レフカメラ。

ASAHI PENTAX ES II 製品イメージ

ASAHI PENTAX ES II (1973)

露出計の電子回路にICを採用し処理速度の向上と回路の小型化に成功。セルフタイマーも装備。

ASAHI PENTAX SPF 製品イメージ

ASAHI PENTAX SPF (1973)

レンズから光が入ることで、露出計回路が自動的に働く「フォトスイッチ」機能を搭載。

  • 1961
    • 「アサヒペンタックスS3」を発売
    • 「アサヒスポット露出計(スポットメーターI)」を発売
  • 1962
    • 「アサヒ・オプチカル・ヨーロッパ」をベルギーに設立
    • 「アサヒペンタックスSV」を発売
    • 世界初の35ミリ一眼レフ用対角線魚眼レンズ「フィッシュアイ タクマー 18mmF11」を発売
    • World events : ビートルズがレコードデビュー
  • 1964
    • 「アサヒペンタックスSP」発売
      「スポットマチック」の量産型となる「アサヒペンタックスSP」を発売
      当社初のズームレンズ「スーパータクマーズーム70-150mmF4.5」が登場
    • World events : 東京オリンピック開催
    アサヒペンタックスSP
  • 1967
    • 「モータードライブシステム」を発売
    • World events : 欧州共同体(EC)が設立
  • 1969
    • 中判カメラ「アサヒペンタックス6×7」を発売
    • 創立50周年
    • World events : アポロ11号が月面着陸に成功
  • 1971
    • 世界初の多層膜レンズコーティング「スーパー・マルチ・コーティング」を開発
    • 世界初のTTL開放測光・絞り優先・自動露出機構搭載「アサヒペンタックスES」を発売
    アサヒペンタックスES
  • 1972
    「旭カールツァイス」を設立し眼鏡分野に参入
  • 1973
    ESの記憶回路をICにした「アサヒペンタックスES II」と「アサヒペンタックスSPF」を発売
  • 1975
    • Kマウント式一眼レフKシリーズ発表
      バヨネットマウント(Kマウント)式一眼レフKシリーズ「アサヒペンタックスK2/KX/KM」を発売
    • Kマウントを採用した「SMC PENTAXレンズ」が登場
    アサヒペンタックスKM
  • 1976
    • 小型・軽量のMシリーズ「アサヒペンタックス MX/ME」を発売
    • 「ペンタックス・コーポレーション」をアメリカに設立
  • 1977
    産業機器分野・医用機器分野に参入
  • 1978
    「ペンタックス・カナダ」を設立
  • 1979
    一眼レフ生産800万台を突破
  • 1980
    • 旭光学創立60周年を記念したプロユースの高級機「ペンタックスLX」を発売
      ペンタックス一眼レフ初の防塵・防滴構造を採用し、20年を越えるロングセラー製品となった
    • 「アサヒペンタックスauto110」が米国NASAの星座観測用ロケットに搭載される
    ペンタックスLX
  • 1981
    • 世界初のTTLオートフォーカス一眼レフ「ペンタックスME-F」を発売
    • 電子映像分野に参入
  • 1982
    ペンタックス初のコンパクトカメラ「ペンタックスPC35AF(オートロン)」を発売
  • 1983
    • マルチ露出モードを採用した「ペンタックス SuperA」を発売、ヨーロピアン・カメラ・オブ・ザ・イヤーを受賞
    • レンズ情報接点付きのKAマウントレンズ「smc PENTAX-Aレンズ」が登場
  • 1984
    6×4.5判(セミ判)のプロ仕様フィールド一眼レフカメラ「ペンタックス645」を発売
    ペンタックス645
  • 1985
    入門機として普及型のプログラム・AE一眼レフカメラPシリーズを発売
  • 1986
    • 世界初のズームレンズ搭載コンパクトカメラ「ペンタックス ZOOM 70」を発売
    • World events : レンズ付きフィルムが登場
  • 1987
    世界初のフラッシュ内蔵AF一眼レフ「ペンタックスSFX」を発売
  • 1990
    • 「ペンタックス ZOOM 105 Super」発売、ヨーロピアン・コンパクトカメラ・オブ・ザ・イヤーを受賞
    • World events : 東西ドイツ統一
  • 1991
    • Zシリーズ高級AF一眼レフ「ペンタックス Z-1」発売
      パワーズームに加え、ハイパープログラムやハイパーマニュアルといった画期的な露出機構を採用したZシリーズ高級AF一眼レフ「ペンタックス Z-1」を発売
    • 世界初の生活防水ズームコンパクトカメラ「ペンタックス ZOOM 90WR」を発売
    • ズームコンパクトカメラの累計生産数が500万台を突破
    ペンタックス Z-1
  • 1992
    「ペンタックスZ-1」が日本カメラグランプリを受賞
  • 1995
    • 世界最小AF一眼レフ「ペンタックス MZ-5」発売
      誰もが戸惑わずに操作できる”ことをコンセプトにした世界最小AF一眼レフ「ペンタックス MZ-5」を発売
    • 世界初の魚眼ズームレンズ「smc PENTAX-Fフィッシュアイズーム17-28mmF3.5-4.5」が登場
    ペンタックス MZ-5

1997~ 
デジタルカメラの時代へ

平成9年、IT化で世界が大きく変革していくなか、デジタルカメラ市場に参入。ペンタックスのモノ作りの姿勢を変えることなく独創的な製品を投入し、多くのファンに愛されてきました。そして、さらなる映像表現の革新を目指すペンタックスの挑戦は、これからも続きます。

  • 1997
    • 「ペンタックス 645N」を発売
      世界初のレンズ交換式AF中判一眼レフカメラ「ペンタックス 645N」を発売
    • デジタルスチルカメラ「ペンタックスEI-C90」を発売
    • APSコンパクトカメラ「ペンタックス エフィーナ」を発売
    • 現在に続く名玉、リミテッドレンズシリーズの第一弾「smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」が登場
    • World events : 火星探査機マーズパスファインダーが火星に着陸
    ペンタックス 645N

column 3

多くのファンを虜にしたsmc PENTAX-FA Limited レンズ

1919年の創業以来、写真による表現の可能性を高めてきたペンタックス。
その歩みは、レンズ開発における進化の歴史と言っても過言ではありません。
数あるレンズのなかでも高い人気を誇るリミテッドシリーズ、特に「smc PENTAX-FA Limited レンズ」は
特徴的な焦点距離で、発売以来多くのペンタックスファンを魅了してきました。


smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited

FAリミテッドレンズの第一弾として登場。F1.9の明るさや0.45mまでの近接撮影に加え、8枚絞り羽根によるボケ感など、高品位単焦点レンズとしての魅力が満載。カラーはブラックと、アルミ削り出しの質感がよく分かるシルバーをラインアップ。

smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited 製品イメージ

smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited

FAリミテッドレンズの第二弾は、明るい中望遠レンズ。「ポートレート撮影やスナップ撮影に最適なレンズ描写」を追求。ハイレベルの実写評価に基づいた設計により、遠距離から最短撮影距離0.7mまで高い描写性能を実現しています。

smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited 製品イメージ

smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited

FAリミテッドレンズ第三弾は、31mmの広角単焦点レンズ。F1.8の大口径に、球面収差を最小限に抑制する「ALレンズ(ガラスモールド非球面レンズ)」や高屈折低分散ガラスをレイアウト。自然な遠近感と、フローティングシステムによる優れた描写力が人気を集めています。

smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 製品イメージ
  • 1998
    「ペンタックス645N」がカメラグランプリ'98と欧州のEISA、TIPAの世界三大カメラ賞をトリプル受賞
  • 1999
    • ズームコンパクトカメラの累計出荷台数が2000万台を突破
    • World events : カメラ付き携帯電話が登場
  • 2000
    • デジタルカメラ分野に本格参入
      「PENTAX EI-2000/EI-200」を発売
    • 世界初の回折型DVD/CD互換ハイブリッドピックアップレンズを開発・製品化
    PENTAX EI-2000
  • 2002
    • 社名を「ペンタックス株式会社」に変更
    • World events : 欧州通貨統一
  • 2003
    • ペンタックス初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「PENTAX *ist D」を発売
    • 新開発のスライディング・レンズ・システムにより世界最小・最軽量を実現したコンパクトデジタルカメラ「PENTAX Optio S」発売
    PENTAX *ist D
  • 2006
    ボディ内手ぶれ補正機構を搭載したデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K100D」「PENTAX K10D」を発売
    PENTAX K10D
  • 2007
    「PENTAX K10D」がカメラグランプリ2007と欧州のEISA、TIPAの世界三大カメラ賞をトリプル受賞
  • 2008
    APS-Cサイズ相当のイメージセンサー搭載デジタル一眼レフカメラで世界最小の「PENTAX K-m」を発売
  • 2009
    • 防塵・防滴構造やマグネシウム外装、視野率100%の光学ファインダー、フルHD動画撮影機能等を備えたKシリーズ上位モデル「PENTAX K-7」を発売
    • 世界初の100種類のカラーバリエーションを実現した「PENTAX K-x」を発売
  • 2010
    • ペンタックス初の中判デジタル一眼レフカメラ「PENTAX 645D」を発売
    • World events : スマートフォンが普及
  • 2011
    • 「PENTAX 645D」がカメラグランプリ2011大賞と欧州のEISA、TIPAの世界三大カメラ賞をトリプル受賞
    • Qマウントレンズシステムを採用した世界最小・最軽量のレンズ交換式デジタル一眼カメラ「PENTAX Q」を発売
    PENTAX Q
  • 2012
    Qシリーズ初の100種類のカラーバリエーションを実現した「PENTAX Q10」を発売
  • 2013
    • 社名を「リコーイメージング株式会社」 に変更
    • エントリークラスで初となる防塵・防滴構造のデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-50」を発売
    • 1/1.7型の裏面照射型CMOSセンサーを採用した「PENTAX Q7」を発売
    • 世界初「ローパスセレクター」機能搭載の「PENTAX K-3」を発売
    • World events : 日本の富士山が世界文化遺産登録
  • 2014
    • 有効約5140万画素、ライブビューにも対応したプロフェッショナル中判デジタル一眼レフカメラ「PENTAX 645Z」を発売
    PENTAX 645Z
  • 2016
    35ミリフルサイズ一眼レフに参入
    ペンタックス初の35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-1」を発売
    PENTAX 645Z
  • 2019
    11月27日、デジタル一眼レフカメラや交換レンズ、双眼鏡等でブランド展開している「PENTAX」の起源となった旭光学工業合資会社(当時)の誕生から100年を迎える。
    PENTAX 100 YEARS OF HISTORY

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