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KOKO DOKO 62

櫛笥の路地から西寺町へ

東の寺町に対して、こちらは西寺町。
古寺が集まるこのエリアに、ポケットのような路地が大通りをつないでいる。
文・写真 = 内藤靖正

五条通の北側の歩道を大宮の交差点から西へ歩いてすぐ、細い北への曲がりかどで「喫茶オルガン」の小さなサインに出合った。通り名もない中堂寺櫛笥町(ちゅうどうじくしげちょう)の路地。連棟の住宅が両側に軒を連ねる一角にその店はあった。

ここでは徳島のaalto coffee(アールト コーヒー)の豆を使って、1杯ずつ丁寧にいれてくれるコーヒーがおいしい。スイーツもこだわりの自家製だ。金曜日ごとに更新する週替わりのごはんのほか、ハンバーグのランチなども喜ばれており、ひとりで訪れるのも大歓迎という。

斜め向かいのエンゲルス・ガールは中古のレコード、CD、本などを扱う気らくなショップだ。懐かしいビートルズのレコードジャケットもこちらを見つめている。奥の部屋のテーブルでは、六曜社のコーヒーやエビスビール、黒糖焼酎、自家製の梅酒などを楽しめ、親しい友人の家にきたような雰囲気がいい。不定期のライブも開かれる。

この辺りの広いエリアは、各町名の頭に「中堂寺」の3文字がついている。松原通に面した中堂寺西寺町(にしでらちょう)に鎮座する中堂寺の縁起によると、昔、比叡山は女人禁制だったが、男女、庶民、貴族などの区別なく、誰でも信仰できる道場として長和4年(1015)、比叡山延暦寺の横川中堂の別院とする中堂寺を、阿弥陀如来を本尊として創建されたのが始まりとされる。

西隣の長円寺は慶長13年(1608)に清巌和尚を開基とした古寺。本堂には慈覚大師作と伝える阿弥陀三尊を祭るほか、観音堂には恵心僧都作の聖観世音菩薩を安置。洛陽観音巡り第24番の札所である。

喫茶オルガン

●午前11時~午後7時/木曜休み
●コーヒー、フレーバーティー各400円、自家製チーズケーキ350円~、週替わりのごはん750円、ハンバーグ(サラダ、みそ汁、ごはん)800円、食後のコーヒー200円など。
075-366-8135

エンゲルス・ガール

●午後2時~8時/不定休
●コーヒー400円、黒糖焼酎400円、日本酒400円、エビスビール500円、自家製梅酒500円など。
075-822-8006

※掲載内容は2014年2月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

★各店とも4月から値段が変わります。

PENTAX K-3 smcPENTAX DA18-270mm F3.5-6.3ED SDM(20mm域)分割測光(F16 1/125秒)マイナス0.7補正ISO400 WBオート カスタムイメージナチュラル TIFF
1南は五条通、北は万寿寺通まで、カギ型でつなぐ櫛笥町の路地。連棟の住宅が続く。
※画像をクリックすると拡大表示します。


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2昭和初期の住宅を改築した喫茶オルガン。ガイド本に紹介され、観光客にも人気だ。
 
33月25日の午後8時から泉邦宏さんのソロライブが開かれるエンゲルス・ガール。
 
4創建以来、天明の大火など、たび重なる戦乱にも本尊を守り続けた中堂寺。
       
5阿弥陀三尊を本堂に祭る長円寺の開門時間は午前7時から午後4時まで。
 
6長円寺の本堂の南隣には華やかな観音堂があり、洛陽霊場巡りの参拝客が訪れる。
 
KOKO DOKO 63

電車を降りたら嵯峨商店街

北にJR嵯峨嵐山駅、南に嵐電の嵐電嵯峨駅。
両駅間でにぎわう嵯峨商店街は、新旧の店が人気を集めている。
文・写真 = 内藤靖正
PENTAX K-3 smcPENTAX DA18-270mm F3.5-6.3ED SDM(34mm域)分割測光(F11 1/250秒)ISO200 WB太陽光 カスタムイメージ風景 TIFF
※画像をクリックすると拡大表示します。
1電車利用の観光客がぶらぶら歩きを楽しむ嵯峨商店街。駅送りの人力車が折り返す。
2平成20年に橋上駅舎が完成した嵯峨嵐山駅。嵯峨野線は221系が運行されている。
 
3鏡やシャワー、タイル絵、脱衣箱などを部分的に残したおしゃれなカフェ嵯峨野湯。
 
4京都のガイド本や地図などにも紹介されている古書籍専門のLondon Books。
       
     
5Ruheとは、ゆったり、静かの意味とか。名の通り、くつろげる町家のカフェだ。
 
6開業当時と変わらない嵐電嵯峨駅。京紫の車両にまじって江ノ電色も走っている。
   


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嵯峨野湯

●午前11時~午後8時(7時ラストオーダー)/不定休
●コーヒー500円、パンケーキ500円(コーヒーはプラス200円)、ほたてのコーンクリームパスタ、嵯峨野湯カレー各950円、平日のランチ1,260円など。
075-882-8985
URL: 別ウインドウで表示 http://www.sagano-yu.com/

London Books

●午前10時~午後7時30分/月曜と第3火曜休み
075-871-7617
URL: 別ウインドウで表示 http://londonbooks.jp/

Ruhe

●午前10時~午後5時30分ラストオーダー/水曜休み
●コーヒー400円、ミルクコーヒー、チャイ各450円、手作りのケーキ(日替わり)300円~など。
075-861-2834

※掲載内容は2014年2月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

★各店とも4月から値段が変わります。

電車と電車が結ぶ、つなぐ、京都のまちをテーマにした楽しい記事が、この4月号から隔月ながら「鉄道ファン」(交友社)ではじまった。たとえばJR嵯峨野線の嵯峨嵐山駅と、150㍍ほど南の嵐電の嵐電嵯峨駅。通勤・通学で両鉄道をここで乗り換える人たちのほか、行きはJRで、帰りは嵐電を利用して市内の中心部へ、という観光客も少なくない。

両駅を南北に結ぶのは庶民的な嵯峨商店街である。古くからの川魚店や豆腐屋、自転車とレンタサイクルのショップ、レトロな喫茶店などにまじって、近年、新しい店もオープン。新旧がほどよくまち並みに溶け込んでいる。

「抹茶時間」のサインが目を引く嵯峨野湯は、大正末期の銭湯を改装したおしゃれなカフェ。ここでは深煎(い)りのブレンドコーヒーや、ふわふわ食感のパンケーキのほか、パスタ、平日のランチなどが喜ばれている。リゾート感覚の店内では時間を忘れてしまいそうだ。

その南寄りのLondon Books(ロンドンブックス)は、カフェと間違えそうな古書籍の専門店だ。清潔な店内には純文学の文芸書をメインに、若い女性向けの書籍から京都関連の本やガイドブック、漫画まで、多彩な書籍があふれている。観光客もふらっと訪れる人気店だ。

嵐電嵯峨駅前の踏切のそばにあるRuhe(ルーエ)は、昔からの食料品店を大胆に改装して営む町家のカフェ。おいしいコーヒーのほか、日替わりのケーキは自家製だ。ここでは親戚(しんせき)の家にきたようなあたたかい雰囲気で落ち着ける。踏切の音を聞いてから店を出ても嵐電は間に合う。

ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。