五条通の北側の歩道を大宮の交差点から西へ歩いてすぐ、細い北への曲がりかどで「喫茶オルガン」の小さなサインに出合った。通り名もない中堂寺櫛笥町(ちゅうどうじくしげちょう)の路地。連棟の住宅が両側に軒を連ねる一角にその店はあった。
ここでは徳島のaalto coffee(アールト コーヒー)の豆を使って、1杯ずつ丁寧にいれてくれるコーヒーがおいしい。スイーツもこだわりの自家製だ。金曜日ごとに更新する週替わりのごはんのほか、ハンバーグのランチなども喜ばれており、ひとりで訪れるのも大歓迎という。
斜め向かいのエンゲルス・ガールは中古のレコード、CD、本などを扱う気らくなショップだ。懐かしいビートルズのレコードジャケットもこちらを見つめている。奥の部屋のテーブルでは、六曜社のコーヒーやエビスビール、黒糖焼酎、自家製の梅酒などを楽しめ、親しい友人の家にきたような雰囲気がいい。不定期のライブも開かれる。
この辺りの広いエリアは、各町名の頭に「中堂寺」の3文字がついている。松原通に面した中堂寺西寺町(にしでらちょう)に鎮座する中堂寺の縁起によると、昔、比叡山は女人禁制だったが、男女、庶民、貴族などの区別なく、誰でも信仰できる道場として長和4年(1015)、比叡山延暦寺の横川中堂の別院とする中堂寺を、阿弥陀如来を本尊として創建されたのが始まりとされる。
西隣の長円寺は慶長13年(1608)に清巌和尚を開基とした古寺。本堂には慈覚大師作と伝える阿弥陀三尊を祭るほか、観音堂には恵心僧都作の聖観世音菩薩を安置。洛陽観音巡り第24番の札所である。
喫茶オルガン
●午前11時~午後7時/木曜休み
●コーヒー、フレーバーティー各400円、自家製チーズケーキ350円~、週替わりのごはん750円、ハンバーグ(サラダ、みそ汁、ごはん)800円、食後のコーヒー200円など。
075-366-8135
エンゲルス・ガール
●午後2時~8時/不定休
●コーヒー400円、黒糖焼酎400円、日本酒400円、エビスビール500円、自家製梅酒500円など。
075-822-8006
※掲載内容は2014年2月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。
★各店とも4月から値段が変わります。
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電車利用の観光客がぶらぶら歩きを楽しむ嵯峨商店街。駅送りの人力車が折り返す。 |
平成20年に橋上駅舎が完成した嵯峨嵐山駅。嵯峨野線は221系が運行されている。 |
鏡やシャワー、タイル絵、脱衣箱などを部分的に残したおしゃれなカフェ嵯峨野湯。
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京都のガイド本や地図などにも紹介されている古書籍専門のLondon Books。 |
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Ruheとは、ゆったり、静かの意味とか。名の通り、くつろげる町家のカフェだ。 |
開業当時と変わらない嵐電嵯峨駅。京紫の車両にまじって江ノ電色も走っている。 |
嵯峨野湯
●午前11時~午後8時(7時ラストオーダー)/不定休
●コーヒー500円、パンケーキ500円(コーヒーはプラス200円)、ほたてのコーンクリームパスタ、嵯峨野湯カレー各950円、平日のランチ1,260円など。
075-882-8985
URL:
http://www.sagano-yu.com/
London Books
●午前10時~午後7時30分/月曜と第3火曜休み
075-871-7617
URL:
http://londonbooks.jp/
Ruhe
●午前10時~午後5時30分ラストオーダー/水曜休み
●コーヒー400円、ミルクコーヒー、チャイ各450円、手作りのケーキ(日替わり)300円~など。
075-861-2834
※掲載内容は2014年2月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。
★各店とも4月から値段が変わります。
電車と電車が結ぶ、つなぐ、京都のまちをテーマにした楽しい記事が、この4月号から隔月ながら「鉄道ファン」(交友社)ではじまった。たとえばJR嵯峨野線の嵯峨嵐山駅と、150㍍ほど南の嵐電の嵐電嵯峨駅。通勤・通学で両鉄道をここで乗り換える人たちのほか、行きはJRで、帰りは嵐電を利用して市内の中心部へ、という観光客も少なくない。
両駅を南北に結ぶのは庶民的な嵯峨商店街である。古くからの川魚店や豆腐屋、自転車とレンタサイクルのショップ、レトロな喫茶店などにまじって、近年、新しい店もオープン。新旧がほどよくまち並みに溶け込んでいる。
「抹茶時間」のサインが目を引く嵯峨野湯は、大正末期の銭湯を改装したおしゃれなカフェ。ここでは深煎(い)りのブレンドコーヒーや、ふわふわ食感のパンケーキのほか、パスタ、平日のランチなどが喜ばれている。リゾート感覚の店内では時間を忘れてしまいそうだ。
その南寄りのLondon Books(ロンドンブックス)は、カフェと間違えそうな古書籍の専門店だ。清潔な店内には純文学の文芸書をメインに、若い女性向けの書籍から京都関連の本やガイドブック、漫画まで、多彩な書籍があふれている。観光客もふらっと訪れる人気店だ。
嵐電嵯峨駅前の踏切のそばにあるRuhe(ルーエ)は、昔からの食料品店を大胆に改装して営む町家のカフェ。おいしいコーヒーのほか、日替わりのケーキは自家製だ。ここでは親戚(しんせき)の家にきたようなあたたかい雰囲気で落ち着ける。踏切の音を聞いてから店を出ても嵐電は間に合う。