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K-3 Mark III Impressions

並木 隆

仕事ではミラーレスを使っていますが、それは短時間で仕上がりのいいものを撮るための「効率」を追求しているからです。だから一眼レフは不要になった、ではないんですね。実はたまにですがプライベートでフィルムカメラを使って撮影しています。

ファインダーを覗きながらフレーミングを決め、撮影イメージに合わせて絞りとシャッターを設定する。MFでピントを合わせながら、こんなにボケるんだな、キレイだなってファインダー像に酔いしれながらシャッターを押す。たぶん撮れている、という自信をもったまま現像に出し、本当に撮れているだろうか? という不安と期待の中でできあがりを待つ。それが期待通りのできだと「喜び」になるわけです。その一連の流れが「写真を楽しむ」ことだと思ってい ます。

効率を求めるならば、無駄な部分かもしれません。でも、なくなると懐かしく感じるのが人間の性。ないものねだりってやつですね。

smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR F2.8、1/160秒、0.0EV、ISO400、太陽光、鮮やか

数年ぶりにデジタル一眼レフを使ってみて、このプロセスを、楽しみをデジタルで体感しました。フィルムのように現像に出すまでの時間というプロセスはありませんが、それ以外は全く一緒。露出補正をしてもファインダーに反映されない、絞りを調整してもボケ具合が変わらない、あ、一眼レフだった、ってな具合にね。絞り込みレバーを使ってボケ具合を確認したり、絞り込んでいればファインダーが暗くなるというミラーレスにはない動作が楽しいと感じるんですよ。多少遠回りをしてもいいじゃないですか。それらの動作が楽しいと思ってくれる人にこのK-3 Mark IIIを使ってほしいなと思います。

smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR F2.8、1/800秒、0.0EV、ISO3200、太陽光、鮮やか

使ってみて素晴らしいなと思ったのはファインダー。ファインダーで見えるボケ具合が実像と撮影画像にほとんど差がないのです。当たり前のように感じるかもしれませんが、センサー以上にお金をかけないとクオリティに差が出るのがファインダーなんです。K-3 Mark IIIはそこをしっかり作り込んでいます。また、シビアなピントが求められるマクロレンズ使用時も、ピントの山が掴みやすい。いくらAFが進化したとはいえ、シャッターを押す瞬間に合っているかどうかの確認は撮る人間ですから。そんなファインダーを覗きながら、ピントを合わせると花たちが語りかけてくるように感じます。見てくれてありがとうってね。

それから、過去にペンタックスを使ったときに印象的だった、らしい色の傾向が変わっていなかったのはすごく嬉しかったですね。一見色が濃いように感じるんですけど、決して派手ではない。ぬるっとした感じというか、深みがあるというか、言葉では上手に説明するのが難しいですが、花の色に合わせて印象的に仕上げてくれるんです。私はくもりの日や日陰といった明暗差の少ない、柔らかい光で撮ることが多いので、彩度やコントラストが高いだけの画作りではくどく感じてしまって好み通りに仕上がりません。でもペンタックスの画作りはそのバランスがすごくいい。カスタムイメージの「鮮やか」は自分の作風にピッタリでしたね。

HD PENTAX-D FA 70-210mmF4ED SDM WR F4.0、1/100秒、0.3EV、ISO1600、日陰、鮮やか

特に赤と緑の色の出方が好きですね。赤は鮮やかすぎると被写体よりも色の印象が強くなってしまいますが、地味だと作品そのものの印象も地味になってしまう。緑も赤が強すぎると色の深みがなくなってしまいますが、ちょうどいいバランスなんですよ。
もちろん、撮影条件に合わせたWBの設定をしっかり行うことが大前提ですけどね。私は快晴の日陰で青味が強く出てしまう以外は、ほとんど太陽光に設定しています。くもりなどで多少青味が残っても、それがくもりの柔らかい光の雰囲気を演出してくれるからです。

Takashi Namiki
並木 隆

Takashi Namiki

並木 隆

1971年生まれ。高校生時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。
花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。
公益社団法人 日本写真家協会、公益社団法人 日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。

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