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K-3 Mark III Impressions

小林 義明

待ち焦がれた「PENTAX K-3 Mark III」がついに発売になります。
みなさんより一足早く実機を使う機会を得られましたので、フィールドで使ってみた印象をお伝えしたいと思います。


光学ファインダー機のここちよさ

まずは何よりも一眼レフの命であるファインダーが良くできています。像倍率が高く適度な情報表示と合わせて使いやすくなっています。また。K-1だとやや黄色がかった見え方でしたが、K-3 Mark IIIでは自然な色となり、よりリアルな光を感じられます。
連続撮影速度が秒12コマと向上していますが、ブラックアウトする時間は短く、動体撮影でもしっかりと被写体の動きを把握しながら追うことができるので、作品の完成度を高めてくれます。

HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR F14、1/15秒、-0.7EV、ISO125、太陽光、鮮やか

ミラーレス機との違いは、光学ファインダーの方がファインダー内で細かな情報を読み取ることができるということでしょうか。たとえばC-PLフィルターの効き具合を確認したり動体を追っているときの追従性などで大きな差を感じます。EVFでは露出を調整したときも、ファインダー上での見え方と実際の露出に差があることも多く、むしろ経験から培った勘での露出補正の方がイメージ通りの仕上がりになっています。EVFの見え方に惑わされてしまっている状態といえば良いでしょうか。EVFにはクイックビュー画像の確認やメニューの内容をファインダーで見られるメリットもありますが、リアルな光を通して被写体との対話を楽しみながら撮影を進められる心地よさは光学ファインダーならではのものです。


使いやすいカメラはシャッターチャンスに強いカメラ

私がPENTAXを愛用している最も大きな理由は、使いやすいということ。それは操作部分のカスタマイズ性が柔軟で理にかなった設定内容になっているからです。
最近のミラーレス機ではFnボタンのカスタマイズは当たり前になっていますが、光学ファインダー機としてはいち早く操作系のカスタマイズを取り入れていて、まさに自分にとって最高の使い勝手を実現してくれます。ダイヤル、ボタン、コントロールパネルなど多岐にわたって自分好みにすることができます。
また、操作部では測距点レバーが追加され、測距点の移動も迅速に行えるようになったこともよりシャッターチャンスに強くなったといえます。101点の測距点から最大41点を素早く選択できるので、構図の自由度も高くなります。ダイヤルやボタンなどの反応が良く、心地よく操作できるのもいいところです。

HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW F5.6、1/500秒、-0.3EV、ISO5000、マルチパターンオートWB、鮮やか

使い勝手の上でいちばんキモになるユーザーポジションですが、K-1、KP同様に5つのユーザーモードポジションがダイヤルにあり、メニュー上では全部で10のユーザーモードを登録しておくことができます。実際にすぐ使えるユーザーモードは5つとなりますが、10の異なる設定を登録しておくことができるメリットはとても大きいです。いままでは4つの登録内容は決まっていて5つめは撮影目的に合わせて変えることが多かったのですが、K-3 Mark IIIではメニューから切り替えるだけでいいので、格段に楽になります。とくに複雑な設定をしたものはあとから同じ設定に戻すのが大変で、登録しておくことでミスを減らせます。とっさに複数の設定を切り替えることができるユーザーモードは私の撮影では欠かせないものですし、このおかげでとっさのシャッターチャンスにも対応できます。
自分好みにカスタマイズできることで、カメラを自分でコントロールして撮影する楽しみを存分に味わうことができるのです。


動体撮影性能

KPやK-1ではバッファが少なく動体撮影時に思ったときにシャッターが押せなくなることも多くストレスを感じていました。でも、K-3 Mark IIIでは、心地よく動体撮影を楽しむことができます。
秒12コマの連続撮影やUHS-II規格のSDカードに対応したことで、シャッターチャンスを逃すこともありません。AFについても測距点が101点と広がったことや測距点レバーの採用で、的確にピントが合います。以前は遠くを飛ぶ鳥のような被写体が小さいときはピントが背景に抜けやすい印象がありましたが、K-3 Mark IIIではしっかり追従しています。

HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW F8.0、1/1000秒、-0.3EV、ISO400、太陽光、鮮やか

ハクチョウの群れが着水するシーンを撮影したときには、ほぼ全コマピントが合っていて、バッファ容量が増えたことでRAW+でも40コマほど続けて撮影できていました。撮影速度が向上したことで背景との重なりや羽根の形などを選ぶ余裕もできて、よりイメージ通りの作品を撮れるようになると確信しています。SRに流し撮りモードが設定できるようになったのもシャープな写りに貢献していると思います。


細かな変更も心地よさにつながっている

使ってみて、大きな変更ではないけれど心地よく感じている部分も多いです。
例えば、電子水準器の表示が画面下から上に移動していて視認性が良くなったことや、画像を再生して拡大するときに、いままでの中央ではなく選択した測距点の位置から拡大されるようになったことなどがあげられます。2つスロットがあるSDカードスロットも手前側がスロット1になったのも、使ってみるとありがたいですね。またUSB-Cの採用で、いざというときはモバイルバッテリーでカメラに充電もできます。


画質の面ではいままでどおり高感度にも強くて信頼がおけるものになっています。基本の色設定であるカスタムイメージ「鮮やか」は適度な彩度で、記憶色に合った自然で美しい色を再現していて大好きです。また、画面のハイライト部に発生していた紫色の滲みが出なくなったように感じています。カタログなどではあまり取り上げられない部分ではありますが、確実にカメラとして熟成が進んでいると感じられるところも多く、手足のように使えるカメラとしてK-3 Mark IIIは手放せない相棒になってくれると信じています。

Yoshiaki Kobayashi
小林 義明

Yoshiaki Kobayashi

小林 義明

1969年東京生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。小さな自然から広大な風景まで、自然の優しさをテーマにさまざまな作品を発表。2007年より北海道へ移住し「いのちの景色」「光の色・風の色」をテーマとして作品を撮影中。
写真展「光の色・風の色2」、「いのちの景色 北に大地から」など多数開催。写真集「いのちの景色・釧路湿原」。2012年PENTAXカレンダー作家。PENTAX K-1MarkIIのカタログ撮影も担当。

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