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K-3 Mark III Impressions

コムロミホ

作品を撮るときは決まって海外に出かけ、絶景や雰囲気のある街を目指して旅をしていたが、2020年は国内の旅にすら行きにくい状況になり、身の回りの風景や家の近所でスナップする機会も増えてきた。最初は戸惑いもあったが、身近にも素敵な風景や瞬間があり、何もない場所にも美しさを見出そうとするきっかけになった。

今回はPENTAX K-3 Mark IIIと共に、自宅のある千葉県の海岸沿いをドライブしながら、被写体を探した。しかし、見慣れた風景を作品としてまとめるのは以外と難しく、いつもと違った目線で被写体と向き合う必要があり、目にした風景をより印象的に写すカメラの表現力も重要になってくる。今回はPENTAX K-3 Mark IIIの魅力とともに、このカメラを通して、千葉の海岸沿いをどのように表現したのかをご紹介したい。

まず一眼レフカメラの面白さは想像を膨らませながら撮影する必要がある点だろう。例えば、モノクロで撮影していたとしてもファインダー内はカラーで見えるため、モノクロの世界を想像して、光と影を見極めながらシャッターを切る必要がある。その分、感性が研ぎ澄まされ、その被写体をどう切り取ろうか考えているうちに、いろんなアイディアへと繋がっていく。

今回は海岸沿いを二つの目線で撮影することにした。まず1つは空や海の色をどう表現するのかという点だ。いろいろ試してみたが、千葉の風景を撮影するときはカスタムイメージのリバーサルフィルムがしっくりときた。被写体の持つ本来の色を活かしながらも深みのあるトーンに仕上げてくれるため、時間帯によって変化する空や海の表情を見た目以上に美しく表現し、私が感じた「印象色」に近づけてくれている。

そして、港や海岸沿いで出会った被写体の美しさがストレートに伝わるようにとモノクロで切り取った。デジタルフィルターの粒状感モノクロームを使用し、ノスタルジックな雰囲気が漂う写真に仕上げた。ザラザラとした粒状と階調豊かなグラデーションがフィルムで撮影したような味わいを楽しむことができる。色の情報がなくなるからこそ、伝わる被写体の質感や風合い、情緒がある。

その場の雰囲気を五感で感じて、「今」をどう表現したいかを考えながら、撮影時に絵作りができるため、撮影者が感じた「印象色」をしっかりと残すことができる。
今回はLimitedシリーズのレンズを使用しながら撮影を行った。風景を切り取るときはHD PENTAX-DA 15mmF4ED AL LimitedとHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedを中心に使用し、海の広がりを表現した。そして、モノクロ写真はHD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limitedを中心に撮影を行った。40mmF2.8は35ミリ判換算61mm相当と標準域というよりは中望遠に近くなる。広くもなく狭くもなく、絶妙な画角が港町で出会った被写体を切り取るのにマッチした。そして、K-3 Mark IIIに装着すると、バランスがよく、見た目のかっこよさもある。

広くて見やすいファインダーを搭載しているため、メガネをかけている私でもファインダー内の隅々まで確認することができ、構図や被写体の表情を引き出すことに集中できる。そして、ファインダーの下にはアイセンサーを搭載し、ファインダーを覗くと背面の液晶が自動的に消えるようになっている。さらにファインダーを覗きながらでも操作しやすいようにジョイスティックタイプのセレクターを搭載し、使いやすい位置にボタンやダイヤルが配置されているため、操作がしやすい。そういう一つ一つのカメラ作りのこだわりが、被写体と向き合うことに集中することができ、速写性にも繋がる。

そして、スナップをする上で大切なのがシャッターフィーリングだ。それがすべてのモチベーションへと繋がる。ぐっと押すと指に残る感覚とキレのいいシャッター音が心地よく、どんどん次のシャッターを押す意欲へと繋がってくれる。
PENTAX K-3 Mark IIIを使用してみて、一眼レフならでの被写体との向き合い方があり、カメラを持つ喜び、シャッターを押す楽しさ、その場を切り取る表現力の広さを感じることができた。今後も千葉の海岸沿いをドライブしながら、スナップを撮り続けていきたいと思う。

Comuromiho
コムロミホ

Comuromiho

コムロミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラフィーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。またYouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」でカメラや写真の情報を配信中。

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