• ブランド
  • 製品
  • ストア
  • フォトアカデミー
  • コミュニティ
  • サポート

「3種類のマクロレンズを
使いこなそう(2.パースペクティブ/遠近感 編)」

先に1.画角編 としてお送りしたマクロレンズ特集、今回は2.パースペクティブ/遠近感 編 です。「パースペクティブ」なんて初めて聞くよ、という方もちょっとがんばって最後までお付き合いください。

「遠近感」とは画像の中で、近い部分と遠い部分との間の距離感」のことを言います。「パースペクティブ」も同じような意味合いで使われます。

この「遠近感」は焦点距離が短くなる(広角)ほど、強調されます。肉眼よりも遠近感が強くなり、近いものはより近く、遠いものはより遠くにあるように写ります。「遠近感の強調」といい「パースが付く」などとも言います。逆に焦点距離が長くなる(望遠)と遠近感を感じなくなります。これを「遠近感の圧縮」といって、近いものと遠いものがぐっと近づいた感じで画面に写ります。「凝縮感」や「緊張感」を演出することができます。

17mmで撮影(APS-Cで撮影)
手前の木が大きく奥の木が小さく写り遠近感が強調されています。

70mmで撮影(APS-Cで撮影)
木と木の間の距離感が詰まって遠近感が圧縮されています。

さてマクロレンズを使う上でなぜ「パースペクティブ」「遠近感」の知識が必要になるかというと、いわゆる「物撮り」のような撮影をするときに、撮影対象の写る「形」が変わってくるからなのです。

ちょうどあの「KPマン」が新しくなった「リコーイメージングスクエア大阪」にお邪魔しているとのこと、大阪に行く機会があったのでポートレートを撮ってきました。KPマンがなるべく同じアングルで同じ大きさに写るようにしながら3本のマクロレンズで撮り比べしてみた比較です。
左から順番に
HD DA 35mmF2.8 Macro Limited
DFA MACRO 50mmF2.8
DFA MACRO 100mmF2.8 WR
のレンズで撮影しています。

2つの点に注目して見てください。

1. カメラのフォルム
50mmや100mmで撮影したKPマンと35mmで撮影したKPマンのカメラ本体の「かたち」を見比べてみてください。35mmで撮影したものは少し手前(ロゴの方)が大きく、後のほうが小さく見えます。肉眼でカメラを見た時の印象と比べると少しデフォルメされた感じがしませんでしょうか。100mmではカメラが整った形に見えますね。

2. カメラとレンズの大きさの違い
装着されているレンズとカメラの大きさの違いにも注目してください。35mmで撮影した写真ではレンズが少し大きく見えます。50mmや100mmではその違和感が少ないですね。

「違った焦点距離のレンズで同じものを同じ大きさに写るように写す」とこのように撮影対象の「形そのもの」や前後の大きさの関係が変わります。特にマクロレンズ3種類の中では35mmは肉眼に比べて、この撮影対象の「形」について前後の大きさの違いが顕著に現れてしまう傾向にあります。例えば商品そのものの形状を正しく見せたいシーンではこれでは困りますが、被写体によっては「丸っこく」て「かわいく」見えるかも知れません。

ときどきコンパクトデジタルカメラについているマクロ機能で小さなモノを撮った時に、思ったように写らないというご相談を頂くのですが、一般的なコンパクトデジタルカメラのマクロ機能は焦点距離をワイド(広角)側にして使用するものが多く、ここで説明したことのもっと極端なケースになってしまっているのです。撮りたいモノの形が歪んでしまうのです。

これは何も「商品」の撮影に限ったことではなく、フィールドで花を撮る時でも、カフェで美味しそうなスイーツを撮る時でも同じことが起こります。その時々、撮りたい対象の大きさや形によって適切な焦点距離のマクロレンズを使う必要があるんですね。スタジオでは細かく焦点距離の違うさまざまな単焦点レンズを用意していることがありますが、必要に応じて使い分けているのです。

だいぶ期間を空けてしまいましたが、マクロレンズの焦点距離のお話、「パースペクティブ」の違いはご理解いただけましたでしょうか。
実際には撮影する対象の大きさ(特に奥行き)などによって、最適な焦点距離は変わってきます。場合によっては複数の焦点距離のレンズを揃えておく必要があるかもしれません。店頭などでじっくり試していただくことをおススメします。また新宿・銀座・大阪の各リコーイメージングスクエアでは店頭で実際に各種レンズをお試しいただくことができます。ぜひ一度お近くのリコーイメージングスクエアへお越しください。
https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/

またこういったレンズを充分に活かすにはカメラ本体の設定や取り扱いも重要です。一度「ペンタックスリコーフォトスクール」の機種ごとの講座に参加して、自分のカメラの扱いについておさらいをしてみましょう。
ペンタックスリコーフォトスクール
https://school.ricoh-imaging.co.jp/rim_academy/

それではまたお会いしましょう。
マクロレンズシリーズ、次回は3つ目のテーマ「最短撮影距離」のお話しをします。

プロフィール

安藤 智仁
(あんどう ともひと)

日本大学藝術学部写真学科卒業。カメラ片手の旅を愛する。東京の懐かしい風景を集めた「東京レトロ」と旅のシリーズ「Andy's Photo Journey」をライフワークとして活動中。愛機はPENTAX 645D。リコーイメージング(株)カスタマーコミュニケーション部 販売サポートグループ所属。 現在全国で開催されるフォトセミナーの講師として活躍。フォトマスターEX。夜景鑑賞士2級。2016年5月、写真展「Andy's Photo Journey VI」を開催。

過去の記事

ページトップへ