梅雨入りしましたが暑い日が続きますね。あちこちの庭先では紫陽花が色づき、カメラを片手に散歩するのが楽しい季節でもあります。せっかくの防塵防滴※1のPENTAX、雨にめげずに彩りを探してお出かけしてみましょう。雨が演出する素敵なシーンにきっと出会いますよ。
この季節の撮影にぜひお供に持っていって欲しいのが「マクロレンズ」。
PENTAXには3種類のマクロレンズがあります。
よくスクールやセミナーで「マクロレンズっていろいろな種類があるけれど、どのレンズを買ったらいいの」と聞かれます。何を撮りたいかによってこの質問にはさまざまな要素が関係してくるのですが、今回は「画角」にテーマを絞ってお話をしたいと思います。
PENTAXの3種類のマクロレンズは全て「等倍撮影」が可能です。「等倍」とは、そのレンズで目一杯対象に近づいた時に、対象がイメージセンサー上で実物と同じ大きさで写すことが可能という意味です。例えば直径2cmの1円玉をこの3本のレンズでそれぞれ一番近づいて撮影した場合、全てセンサー上で直径2cmの大きさで写ります。では何が違うのでしょか。今回は「画角」(写真に写る範囲)に注目してみたいと思います。3本のマクロレンズの「画角」を数値で見てみましょう。
レンズ | 画角(APS-C装着時) | 画角(フルサイズ装着時) |
---|---|---|
HD DA35mmF2.8 Macro Limited |
44° | ― |
DFA MACRO50mmF2.8 | 31.5° | 47 |
DFA MACRO100mmF2.8WR |
16° | 24.5 |
焦点距離が長いほど画角が狭く、短いほど広くなることがお分かりいただけるかと思います。
梅雨の晴れ間、ちょうどいい薄曇りの日に神奈川県のカメラマン御用達「大船植物園」を訪れました。もう薔薇は終わりに近づいていましたが、それでもじっくり探せば綺麗な花を見つけることができます。
DFA MACRO100mmF2.8WRを装着したPENTAX KPのファインダーを覗きながら慎重に、一番いい顔に見えるアングルを探しながらフレーミングしていきます。まさにポートレートのように捉える撮り方ですね。画角が狭いので余分な背景を整理して主題の花をしっかりと表現することができます。もちろん画角が狭くて背景が整理されるからといって、背景をおろそかにしていいわけではありません。慎重に主題を引き立てる背景を探してアングルを決めましょう。
マクロレンズの中でも100mmは特に被写界深度が浅く、ピントの合う範囲が狭いですのでピント合わせは慎重に行います。オートフォーカスの「AFエリア(測距点)」は「セレクト」。先に構図を決めて一番ピントを合わせたい部分に最も近い測距点を選択します。手持ちの場合にはカメラを構えている自分自身が少し動いただけでもピントがずれてしまうので気をつけましょう。DFA MACRO100mmF2.8WRは「クィックシフトフォーカスシステム」が可能なので、オートフォーカスで合焦した後にシャッターボタン半押しをキープしたままピントリングを手動で廻して微調整することもできます。また三脚で撮影する場合にはライブビューに切り替え、拡大して精密にピントを合わせることができます。※三脚の使用に際しては、その場所での使用が可能かどうかを確認しましょう。また長時間場所を占拠したり、三脚を伸ばしたまま持ち歩くなど周囲の方に迷惑をかけることのないように充分注意してください。
さて、別の日に今度はHD DA35mmF2.8Macro LimitedとPENTAX KPの組み合わせで鎌倉の街を歩いてみました。ぼちぼち紫陽花が見頃になり始めていました。有名なお寺の紫陽花も素敵ですが、あちこちの路地に咲く紫陽花も見事です。花に注目して街歩きをすると「チロリアンランプ」の愛称がかわいいアブチロンやホットリップス、力強く咲くどくだみも路地を彩っています。
先に書いたようにHD DA35mmF2.8Macro Limitedの画角は44°。DFA MACRO100mmF2.8WR(16°)よりもだいぶ広い画角を持っています。また開放F値がF2.8でも焦点距離が短い分被写界深度が深いですから、背景も雰囲気が分かるような自然なボケ方をします。花だけを撮るのではなく「鎌倉の名もない路地を彩る紫陽花」といった雰囲気を表現するには最適なレンズなのです。ちなみに個人的には背景の雰囲気がより分かる写り方が好みなので、マクロレンズでもF8やF11まで絞ることが多いです。
いかがでしたか。今回は「3種類の」と言いながらDFA MACRO100mmF2.8WRとHD DA35mmF2.8Macro Limitedの2本のマクロレンズしかご紹介できませんでしたが、ご自分にあったマクロレンズはどの焦点距離なのか、少し見えてきたのではないでしょうか。お気に入りのマクロレンズをカメラバッグに忍ばせて梅雨時の撮影を楽しんでください。
ところで「もう少し悩みたい、できればいろいろ試してみたい」という方におススメしたいのが<有料トライアル>です。新宿・銀座・大阪の各リコーイメージングスクエアではカメラやレンズを営業時間内に有料で借りることができます。しかもファミリークラブ会員は無料。お近くにリコーイメージングスクエアがある方はぜひ一度ご活用ください。(詳しくは各リコーイメージングスクエアにお尋ねください)
https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/
またこういったレンズを充分に活かすにはカメラ本体の設定や取り扱いも重要です。一度「ペンタックスリコーフォトスクール」の機種ごとの講座に参加して、自分のカメラの扱いについておさらいをしてみましょう。
ペンタックスリコーフォトスクール
https://school.ricoh-imaging.co.jp/rim_academy/
それではまたお会いしましょう。
※1.機種によります。ご自分の機材についてはご確認の上ご使用ください。
プロフィール
安藤 智仁
(あんどう ともひと)
日本大学藝術学部写真学科卒業。カメラ片手の旅を愛する。東京の懐かしい風景を集めた「東京レトロ」と旅のシリーズ「Andy's Photo Journey」をライフワークとして活動中。愛機はPENTAX 645D。リコーイメージング(株)カスタマーコミュニケーション部 販売サポートグループ所属。 現在全国で開催されるフォトセミナーの講師として活躍。フォトマスターEX。夜景鑑賞士2級。2016年5月、写真展「Andy's Photo Journey VI」を開催。
過去の記事
- 「3種類のマクロレンズを使いこなそう(2.パースペクティブ/遠近感 編)」 2017.11.29
- 「PENTAX KPで富山の路面電車を撮る」 2017.07.10
- 「3種類のマクロレンズを使いこなそう(1.画角編)」 2017.06.27
- 「新湊街歩き」 2017.05.15
- PENTAX KP 夜の体験会にて
- PENTAX KP ファーストインプレッション
- 初めまして、朝倉です。
- 「ハタオリの町を歩く」
- K-1 実写レポート マクロ100mmで紫陽花を写す
- スクエア銀座で開催の今野義好写真展
- K-1 実写レポート FA リミテッドレンズで写す
- PENTAX K-1試写レポート
- 『電子ダイヤル』をカスタマイズする
- 『クイックビュー』をカスタマイズする
- K-S2を相棒に五島列島をめぐる(後編)
- K-S2を相棒に五島列島をめぐる(中編)
- K-3IIのリアルレゾリューションを体験する
- K-S2を相棒に五島列島をめぐる(前編)
- K-3のインターバル合成で星を撮る
- K-3で桜を写す
- Q7で写す伏見稲荷大社
- 「CP+ 2014」と「フォトスクール&オフミーティングin松山」に是非足をお運びください。
- K-3で巡る石垣の集落
- K-3で京都の紅葉を写す
- 雨の箱根湿生花園を写す
- GRで初夏の横浜山手を歩く
- GRで下町情緒を残す佃界隈を写す
- GRデビュー ファーストインプレッション
- Q10で春の京都を写す
- K-5ⅡsとDA18-270mmで「長崎さるく」
- GR DIGITAL Ⅳで夏の妻籠宿を写す
- 岡田紅陽没後40年展「富士山」に行ってきました
- K-30レポート(続)と猿島での写真展
- K-30ファーストインプレッション
- RICOH GXRで新緑を写す
- PENTAX Qでトイレンズを楽しむ
- フォトスクールのご紹介
- 645Dと大判プリンターのコラボ
- ホワイトバランスの運用法(2)
- 灯りまつりをK-5で
- 645Dを活かす三脚の使いこなし
- 645Dを気軽に楽しむ
- ホワイトバランスの運用法(1)
- 初めまして
- カラマツ林を立体的に仕上る
- 夜明けの秋元湖
- 645Dで滝を写す
- 写真散歩「嵐電沿線」
- K-7で雨の森を写す
- K-7で雪景色を写す
- K-7で紅葉を写す
- K-7で余呉湖のコスモスを写す
- K-7+DA 15mmで永平寺を写す
- K-7試作機で撮影
- 精密描写に挑戦
- 浅田政志写真展「浅田家」
- 寝台特急富士号を撮影
- 飯島志津夫追悼写真展
- デジタルフィルタ機能の活用
- K-mのデジタルフィルタ体験記
- 夜景を写す
- AFボタンを使って花火を写す
- 被写体とピント(2)
- 被写体とピント(1)
- AF機能を活用して写す(4)
- AF機能を活用して写す(3)
- AF機能を活用して写す(2)
- AF機能を活用して写す(1)
- 花火を写す(4)
- 花火を写す(3)
- 花火を写す(2)
- 花火を写す(1)
- 俳句と写真のコラボレーション(2)
- 俳句と写真のコラボレーション(1)
最新記事
-
Takumichi Seo×PENTAX「光の記憶」
写真家 Takumichi Seoの感性とPENTAXの表現力が織りなす作品の紹介と、撮影にまつわるエピソードを綴った撮影記
-
PENTAXを使い倒せ!~すぐに役立つ実践テクニック~
より充実したPENTAXフォトライフを送っていただくためのお役立ちコンテンツ
第3回 人物向きの画像仕上げ設定は?
-
天体撮影から考える Why PENTAX?
アストロトレーサーによって天体撮影はどう変わる?天文機材技師が語る天体撮影にPENTAXを選ぶ理由