続・PENTAX FILM DUPLICATORで
昔撮影したフィルムをデジタル化
皆さま、こんにちは。スクエア東京の藤本です。
緊急事態宣言が解除され、リコーイメージングスクエアも通常営業に戻りました。暖かくなってきたので、皆さまもコロナに注意を払いつつ、撮影に出掛けられているのではないかと思います。
さて、今回も先月に引き続き、PENTAX FILM DUPULICATORを紹介いたします。せっかくの陽気なのにまたか、とお思いの方もいらっしゃるでしょうがお付き合いください。また前回の記事をお読みでない方は、スクエア東京の3月5日の記事もぜひともお読みください。
今回はポジフィルム(以下、ポジ)の複製を紹介したいのですが、その前にこの機材の概要紹介と前回の記事の補足から始めたいと思います。というのも記事リリース後に、FILM DUPULICATORを開発に携わった先輩からご指導をいただいたからです。
そもそもこの機材は2010年3月に645Dが発売されたのが誕生のきっかけです。有効画素数約4000万画素のこのカメラの登場により、フィルムを複製し作品に昇華できるだけの解像度を得ることができるようになり開発を始めました。そして試行錯誤を繰り返し2014年5月にようやく製品化することができました。またPENTAXの製品でありながら、PENTAXのカメラを使わなくても撮影できるというのもこの機材の特徴です。実際に前回の記事のリリース後にも他社ユーザーの方からお問い合わせをいただいたのですが、システムが揃っていれば、どのメーカーのカメラで撮影していただいてもフィルムの複製は可能です。数枚程度のお試しであればリコーイメージングスクエアにお使いの機材をお持ちいただき、実際に体感していただくことも可能ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
続いて前回の記事リリース後から私の撮影方法が大きく変わってしまいましたので紹介いたします。変更点は光源と撮影方法です。ネガフィルム(以下、ネガ)の複製は、カメラ・レンズはもちろんF5.6・ISO100・露出補正なしの絞り優先モードで撮影するのは変更ないのですが、光源を変えました。実は一番良いのはTTL調光コードを使用してフラッシュを発光させるという方法です。しかし現在、PENTAXでは有線でTTL調光できるアクセサリーがなく、この方法は使えません。(PENTAXで以前販売していたものをお持ちの方や他社ユーザーでご用意できる方はもちろん可能です)そのためAF360FGZIIのLEDライトを光源にして撮影していました。しかしフラッシュのLEDライトはあくまでモデリング用で、特に光源の赤色成分が低いためフィルムの赤色色素部分が黒ずんで正確な複製ができません。また光量も小さいのでスローシャッターになり、お住まいの環境によってはわずかなブレが生じる可能性があります。この2点によりAF360FGZIIのLEDライトはおすすめできないことが判明しました。
そこで私が導入したのが、しっかりとした赤成分のエネルギーがあるサンテックの「LG-E116C」です。(導入後、カラーメーターで2つのLEDライトをチェックしたところ、赤色の数値が大きく違いました)またこの機材を使用したおかげで光量が大幅に増し、速いシャッタースピードでの撮影が可能になりました。今はレリーズ使用をやめ、ファインダーを覗いて撮影をしており、撮影時間を大幅に短縮することができています。
ここから今回の本題、ポジフィルム(以下、ポジ)の複製の話に移りたいと思います。ポジはご存知のようにネガと違ってフィルムにそのまま色がついています。そのためネガと同じように撮影すると、被写体によって露出にかなりのバラつきが出ます。特に暗い室内や夜景の写真などの画面全体がシャドウ部の多い被写体が写っている場合などはアンダー側の露出補正が必要です。またフラッシュを使用する場合、原稿フィルムが暗い被写体の時にはTTL調光ではなく、マニュアル発光で1/8~1/16に減光して撮影するなどの方が確実です。露出値の判断は撮影された方のイメージがありますので「この値」と決め打ちするのは難しいかと思います。私の場合は先にご紹介したLEDライトを使用して、ライブビューで露出補正をかけて確認しながら撮影しています。
そしてもう一つ重要なのがホワイトバランスです。先月ネガの記事を書いたときはホワイトバランス設定をオートにして撮影していました。しかし私の使用しているLEDライトは3200K(ケルビン)から5600Kまで200K単位で色温度を設定できます。数値が低いとオレンジ色の光源になり高いと青白くなります。私はLEDライトの設定を5600Kにして(ちなみにフラッシュ光は約5400Kです)、カメラ側のホワイトバランス設定をマニュアルの色温度指定で5600Kに固定するようにしました。
このようにある程度の設定を決めてしまえば、ほとんどのカメラに搭載されているユーザーモードに登録することをおすすめします。FILM DUPLICATOR専用設定を入れておけば、大きく設定を変える必要がなく、露出補正などの微調整のみで済むからです。
下の2枚はPENTAX 67で撮影したポジを複製したものです。左側がマルチパターンオートホワイトバランス、露出補正なしで撮影、右側がマニュアルホワイトバランスの色温度指定(5600K)、露出補正-3.0EVで撮影した画像です。撮影時の設定で、できあがりが大きく変わるのがお分かりいただけると思います。特にこのように全体的に黒が多い写真は補正値が大きくなります。撮影者の好み・イメージがあるので、この後RAW→JPEGの変換でさらに調整することになります。
さらに数点ご紹介いたします。
このように全体的に黒が多い夜景の場合はさらに補正が必要です。
以下のような比較的明るい写真でも自分のイメージに近づけるには多少の補正が必要です。
2回にわたってPENTAX FILM DUPLICATOR を紹介してまいりましたがいかがだったでしょうか?皆さまのご自宅にもまだまだデジタル化していないフィルムがたくさんあることと思います。個人で購入される方はもちろん、カメラ仲間でお金を出し合ってグループで購入される方々もいらっしゃるようです。そして私が実際にアーカイブを始めてみて思った最も重要な点は、RAW設定で撮影するということです。RAWを残しておけば5年後、10年後には今よりもっと良い条件で現像できる可能性が高いからです。
フィルムの保存にお悩みの方は劣化がこれ以上進む前にデジタル化に取り組んでいただければと思います。アーカイブする枚数がそれほど多くない方は、スクエア東京・大阪の1日お試しの有料トライアルもございますのでぜひご検討ください。
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