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必見!大好評天体写真展が
スクエア大阪でも開催

スクエア大阪の伊藤です。コロナウイルスの勢いが止まりません。この原稿を書いている1月17日現在、大阪も緊急事態宣言が発令中です。実は今月は久しぶりに撮り歩きスポットのご紹介をと考えていたのですが、この社会情勢ではとても外出を促す内容では書けません。そこで今月も引き続き星空ネタですが、今回は天体写真がテーマの写真展の紹介です。

山野泰照写真展「虚空の如くなる心」大阪編(詳細はこちら)。

会期
2021年3月11日(木)~3月22日(月)
時間
10:30~18:30(最終日16:00終了)
定休日
火曜日・水曜日
入場
無料
会場
リコーイメージングスクエア大阪
ギャラリー

「満月」
撮影日:2019年2月 撮影地:大阪府 河内長野市

この写真展は、昨年の8月20日~9月7日の会期でスクエア東京ギャラリーAにて開催された、山野泰照写真展「虚空の如くなる心」をさらに内容を充実して開催されるものです。東京展ではその素晴らしい作品が大好評を博し、日本カメラ2020年12月号に掲載された「写真集&写真展で振り返る2020年の総括」という記事(複数の写真専門家が印象に残った写真集・写真展をそれぞれ3つ挙げる)の中で、写真評論家の上野修氏が印象に残った写真展の一つとして挙げたほど。私自身も見に行きたかったのですが、当時小康状態だったとはいえコロナ流行中のため、悔しい思いをしつつも自重しました。ところが、間もなくその写真展の大阪編が開催される運びに。この時ばかりは、純粋にうれしさのため心の中でグッとガッツポーズしました。

私がなぜこの写真展にこだわるのかといいますと、私自身が自他ともに認める天体オタクだということもありますが、天体ファンだけでなく、一般の写真ファンの方にもぜひ見ていただき、「写真の力」を感じていただきたいからです。

天体写真(いまは星景写真や星空写真といわれることが一般的ですが)は、デジタルカメラ(スマートフォンなどを含む)の性能アップにより、今や簡単に美しい星空が比較的簡単に撮れる身近なジャンルになりました。当然、これは我がPENTAXが誇る「アストロトレーサー」も大いに貢献しています(私が10数年前(まだRICOHとPENTAXが一緒になる前)に初めてアストロトレーサーの存在とその仕組み、性能を知った時の衝撃は今でも忘れられません)。そして、世界中の天文台やハッブル宇宙望遠鏡などで撮影された素晴らしい天体写真も、いまはインターネットで手軽に楽しむことができます。しかし、少し偉そうな物言いになりますが、あまりにも身近で手軽に天体写真を楽しめるがゆえに、本当の意味での天体写真の素晴らしさと凄さ、奥の深さが、忘れられているのではないかと感じているのです(あくまでも私見です。気に障ったなら御免なさい)。

これまで、当スクエアでは様々なジャンルの写真展が開催されてきました。風景・スナップ・ポートレート・ドキュメンタリー・静物・アーティスティックetc… どれも素晴らしいものばかりです。そしてその作品の裏には、ジャンルを問わず、作家の方々の気が遠くなるような時間と手間と情熱が注ぎ込まれています。しかし天体写真を写真展開催レベルの作品に仕上げるために要求される手間暇と情熱は、他のジャンルに勝るとも劣らないことを、天体オタクの私は実体験として知っています。

「オリオン大星雲(M42)」
オリオン座にある有名な散光星雲
地球からの距離は約1300光年
撮影日:2019年11月 撮影地:大阪府 河内長野市
★この写真の凄さは美しさだけではありません。
キーワードは「トラぺジウム」。その意味は会場で。
あと、先月の私の写真は忘れてください(笑)。

この季節の夜なら、このオリオン大星雲は南の空で都市部でも肉眼で観ることができます。でも肉眼では高価な望遠鏡を使っても、ここまでの素晴らしい姿で観ることはできません。でも写真なら観ることができる。しかし撮影のためには高度な天文知識や写真の知識を総動員した上で、天候、空気の状態(天体ジャンルでは「シーイング」といいます)など、あらゆる条件が揃わないと撮れません。もちろん知識や条件が要求されるのは他のジャンルでも同じですが、天体写真の多くは何分もの長時間露光や複数枚の撮影が必要です。ですから好条件が揃う時間帯をひたすら夜の闇の中で待ち続ける。そして撮影後に必要となる膨大な画像処理作業。しかし、その時点で傑作と思われた作品も、技術の進歩や時代の流れでつまらないものになってしまうかもしれない。だから最高の結果を得るために日々好条件を待ち続ける。作家の山野氏はその作業を「修行」と呼んでいます(その想いは詳細ページの【作品コメント】をぜひ読んでください)。

「プレアデス星団(M45)」
牡牛座にある散開星団 和名はすばる
地球からの距離は約400光年
撮影日:2007年12月 撮影地:長野県 入笠山
★天体写真の魅力は、その美しさだけでなく
「スケールの大きさ」や「ロマン」にあると思います。
この星々は、年若い(といっても産まれて数千万年経っていますが)姉妹星たちです。
姉妹なのは名前の由来がギリシャ神話の
「プレアデス7姉妹」だから。
星々の固有名もそこから採られています。

「皆既日食」
皆既日食を求めてニュージーランド沖へ
雲を避けた海域で船上から
撮影日:2012年11月 撮影地:ニュージーランド沖 船上
★皆既日食は地球規模ではそれなりの頻度で起こっていますが、
毎回観ようとすると、正に言葉通り世界を駆け巡ることになります。
次に皆既日食が日本国内で観られるのは、
金環食が2030年6月1日(北海道ほぼ全域)、
皆既食が2035年9月2日(北陸~関東北部)です。

「土星」
太陽系の中で木星に次ぐ大きさのガス惑星 美しい輪が特徴
撮影日:2019年11月 撮影地:大阪府 河内長野市
★撮影地に注目。ボイジャーなどの観測機や宇宙空間にあるハッブルなどの宇宙望遠鏡と違い、
大気の底にある地上から木星をここまで鮮明に写すためには、
最新の撮影&画像処理技術と膨大な手間暇が必要です。
(日本のすばる望遠鏡がハワイのマウナ・ケア山頂上にあるのは、大気の影響を少なくするためです)

「山に沈む夏の星たち」
西の空に沈んでいく夏の天の川を
⻑時間露出に相当する比較明合成処理
撮影日:2015年9月 撮影地:アメリカ アーチーズ国立公園
★PENTAXのインターバル合成(比較明合成)撮影でも
おなじみの、星々の日周運動。
ぜひオリジナルプリントで見ていただきたい作品です。

ここでご紹介した画像は、山野氏の許可をいただき作品データを縮小したものを掲載しました。これでも凄いと思った方、オリジナルプリントはもっと凄いです。その凄さは人により感じ方は変わるでしょうが、天体ファンでなくても感じられる普遍的なものだと、私は確信しています。他のジャンルと同じように。その「凄さ」が、先に述べた「写真の力」だと思います。

作家の山野泰照氏は、カメラメーカー勤務を経て現在はフリーの写真家として活躍されていますが、天体写真を撮影して当時の天文雑誌に作品を投稿して掲載されたのが1969年。ご年齢から逆算すると、なんと15歳の時に写真家としてデビューされたことになります。しかし何よりも凄いのが今現在に至るまで天体写真を撮り続けていらっしゃることです。日々進歩する撮影・画像処理技術をフォローしながらの50年以上にわたる「修行」。とても私には無理です(笑)。今度の写真展では、東京展で展示された作品に新作を加え、さらになんと動画まで展示してくださることになりました。ギャラリー担当の役得として調整中の画像を拝見させていただきましたが・・・みなさん、凄いですよ。

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