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冬の星空を楽しもう!

スクエア大阪の伊藤です。またしても新型コロナウイルスが勢いを増してきました。この原稿を書いている12月13日現在、大阪府ではすでに「赤信号」が灯り、外出自粛が呼びかけられています。本来であれば年末年始に向けてイベント撮影や撮影旅行を計画していた方もいらっしゃると思いますが、ここは我慢のしどころ。私も予定していたテーマを変更して、春の緊急事態宣言の時と同じく「星空」についてお話ししたいと思います。

以前にも書きましたが、「星空観望」や「星景撮影」は一人でも楽しめるジャンルです。しかも基本屋外ですから密になるリスクが少ない。そして冬は空気も澄んでいて明るい星や形の整った星座が多く、一年で最も豪華な星空が楽しめる季節です。今回も春に続き、冬の星空の楽しみ方をご紹介いたします。

星空観望のオススメグッズについては、基本的には春の記事を参照してください。ただし、今回の季節は冬。防寒対策が必須です。寒さによる体調不良を起こしては、コロナ流行中の現在は大事になりかねません。防寒着や使い捨てカイロなどの防寒グッズ、さらに撮影を伴う場合は予備バッテリーや結露防止用レンズヒーターなど、万全の準備を行ってください。

【冬の星空について】
これからお話しする星空の話は、全て1月中旬の夜20時頃という設定です。屋外の東西南北開けたところだけでなく、自宅のバルコニーや窓からでも楽しめるように方角別にオススメ星座や天体などをご紹介します。
※星空や天体についての詳しい情報は、国立天文台の「ほしぞら情報」も併せてご覧ください。

1月の星空(参照元 国立天文台を元に作成)

●西の空から天頂(頭上)・南の空
夜の長いこの季節は設定時間帯でも十分空は暗くなっていて星空を楽しめます。そして西の空から天頂(頭上)には、季節は冬ですが秋の星座とされるアンドロメダ座、カシオペヤ座、ペルセウス座、おうし座がまだ頑張っています。むしろ空気が澄んでいる分、観望や撮影に適しているかもしれません。これらの星座とこの付近のオススメの天体も併せてご紹介します。

★アンドロメダ座
設定の時間帯には西の空に掛かり始めていますが、有名なM31 アンドロメダ銀河はまだ高度があって見やすいです。空の条件が良いところでは、ぜひアストロトレーサーで狙ってみましょう。300mmクラスの望遠レンズなら渦巻の様子もはっきりと写せます。超広角レンズならこの後ご紹介する星座や天体も一緒に写すことができます。双眼鏡を使ってもぼんやりとした光の塊に見えるので、写真のような見事な姿を想像しているとちょっと残念に思うかもしれません。ちなみに星座のモデルとなったアンドロメダは、ギリシャ神話では絶世の美女で英雄譚のヒロインとして知られています。

★カシオペヤ座
北西の空、アンドロメダ座の右側に「W」の形が比較的簡単に見つかります。北斗七星とともに北極星を探す目印としても有名です。周囲には目立たないですが小さな星団が数多くあり、小型でも双眼鏡を向けると視野一杯に小さな星々が散らばるので、ぜひ双眼鏡を持っている方は試してください。この星座のモデルとなったカシオペヤは、実は先述のアンドロメダの母。エチオピアの王妃だったカシオペヤが、アンドロメダの美しさを自慢しすぎたため神(海神ポセイドン)の怒りを買い、アンドロメダは海の怪物ケートス(これもくじら座として星座にあります)の生贄にされます。あわやアンドロメダはケートスの餌食に!となる直前、ヒーローが現れます。そのヒーローについては次の星座でご紹介します。

★ペルセウス座
アンドロメダの危機を救ったのがこの星座のモデルとなったペルセウスです。領主からその目を見ると石になってしまうという蛇の髪の毛を持つ怪物メデューサの首を取ってくるよう命じられ、その使命を果たした帰り道に先述のアンドロメダのピンチに出会います。ペルセウスは手にしたメデューサの首を襲い掛かる怪物ケートスに掲げ、ケートスを石に変えて見事アンドロメダを救い出します。ペルセウス座には1等星はありませんが星座の形は整っていて、設定時間帯にはほぼ天頂(頭上)に位置します。右手に剣を振りかざし左手にメデューサの首を持つ姿を思い浮かべながら星座を辿ってみましょう。ペルセウス座のもう一つの見どころは二重星団h+χ(エイチカイ)。天の川のほぼ中央に位置し、カシオペヤ座「W」の谷底の星からペルセウス座の一番明るい星を結んだ線のほぼ中間に、ぼんやりとした小さな光の塊が見えるはずです。ぜひ双眼鏡で見てみましょう。その名の通り小さな星々の集団(散開星団)2つが、ぴったり寄り添った姿は非常に美しく一見の価値ありです。

★おうし座
M45プレアデス星団やヒアデス星団、オレンジ色の1等星アルデバランなど、見どころの多い星座です。この時間帯にはほぼ真南、ペルセウス座の真下に位置します。1等星アルデバランが目立つので、すぐに見つかるでしょう(※ただし2021年1月ごろは、西寄りの空に似た色と明るさの火星がありますので、間違えないよう気を付けてください)。このアルデバランに向けてぜひ双眼鏡を向けて下さい。視野一杯に色とりどりの星々が散らばります。これがヒアデス星団です。アルデバランとともにおうし座角と頭にあたる「V」の字をかたどっているのもこの星団です(アルデバランは星団とは関係がありません)。M45プレアデス星団(別名すばる/スバル/昴)はアルデバランの右上に位置し、空の明るい大都市圏でもぼんやりとした青い雲のように見えるはずです。双眼鏡では条件によりますが10~20の青い星々が集まっている姿が見られます。様々な神話や逸話が伝えられ、ヒット曲でも有名な存在ですが、日本の逸話としては清少納言の「枕草子」のなかにある『冬はすばる』の一節が有名です。

●南から東の空
これからご紹介する南から東の空の星空は、時間が進むとともに西の空へと移動しますので、西向きの場所でも時間をかければすべての星々を観ることができます。

★冬の大三角・冬のダイヤモンド
春と夏にも大三角はありますが、なんといってもこの「冬の大三角」が一番見事でしょう。全天で一番明るいおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスという全て明るい1等星で構成され、形もほぼ正三角形です。また周囲の1等星6つを結んで「冬のダイヤモンド」という六角形が出来上がります。構成する星は次の通りです。
<おおいぬ座α星 シリウス> <こいぬ座α星 プロキオン> <ふたご座β星 ポルックス>
<ぎょしゃ座α星 カペラ> <おうし座α星 アルデバラン> <オリオン座β星 リゲル>
前掲の星図にもプロットしてありますので、ぜひ参考にしてください。

★オリオン座
ベテルギウス、リゲルという2つの1等星に、三ツ星、オリオン大星雲(M42&43)を抱える冬の星空の主役です。設定時間帯は東寄りの空に見えています。三ツ星も2等星ですから簡単に見つかります。三ツ星左上の赤い1等星がベテルギウス、右下の青い1等星がリゲルです。オリオン大星雲は三ツ星の下側そばにあり、空の明るい都市部でも肉眼でぼんやりとした光の塊として見えるはずです。一眼レフやGRなどマニュアル撮影ができるカメラをお持ちなら、ぜひ撮影にチャレンジしてみましょう。空の条件が良いところならISO3200、F5.6、10秒ぐらいの設定で、広角レンズの固定撮影でも先に紹介した星々と一緒に光の塊が映るはずです。アストロトレーサーと望遠レンズをお持ちなら、ぜひアップで狙ってみましょう。写真に併記した設定で、大都市でもこれぐらいは写すことができます。

オリオン大星雲(M42&43)
PENTAX K-1  HD PENTAX-DA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE 300mm(APS-Cモード)
アストロトレーサー使用 露光時間約10秒 F6.3 ISO3200 Digital Camera Utility5で現像
撮影地:大阪市住之江区

これは大阪市内で撮影したものです。RAWの元データは下のように街灯りが原因でかぶってしまっていますが、7月17日に公開したスクエア通信「超簡単!星景・天体写真RAW現像のススメ」の方法で現像すると、上のような美しい姿をあぶり出すことができます。

上の写真のRAW元データを未現像のままJPEG展開

さて、少々長くなりましたが、これで今回の冬の星空の紹介を終わります(実はまだまだ語りたいのですが、キリがないのでこの辺で・・・)。今回の記事が皆さまの星空ライフの手助けになれば幸いです。

今年のスクエア通信はこれが最後となります。寒さと新型コロナウイルスによる体調悪化にお気をつけください。それでは皆さま良いお年を。

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