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写真三昧の池永が語る
知れば知るほどペンタックス

第4回
露出をマスターする


<ハイパープログラムの概念図>

露出はイメージセンサーに光を届ける量を調整することを言います。露出を調整する要素は3つあり、絞り、シャッター速度、感度です。これらの要素を組合せて露出を作ります。その露出をおこなうための自動露出モードがあります。プログラム自動露出、絞り優先自動露出、シャッター優先自動露出などがあります。そのほかにも感度優先自動露出やシャッター&絞り優先自動露出など特徴的な露出モードがあります。また、その操作系には他社にない独創的なものがあります。それはプログラム自動露出、絞り優先自動露出、シャッター優先自動露出を変更するのに露出モードのダイヤルを変更することなく、プログラム自動露出モードから前電子ダイヤル(シャッター速度設定)でシャッター速度を変更すると即座にシャッター速度優先自動露出モードになります。さらに後ろ電子ダイヤル(絞り設定)で絞りを変更すると即座に絞り優先自動露出になります。そしてプログラム自動露出に戻すにはグリーンボタンを押すことによりプログラム自動露出になります。このシステムをハイパープログラムと言いPENTAXの独創的なものでフィルムカメラのPENTAX Z-1から取り入れています。絞りとシャッター速度は光量の調整だけでなく、映像効果に関係するために絞りやシャッターの設定はとても大切と言えます。

感度の活用

露出の3要素のもうひとつ感度はどのように活用したらよいのでしょうか。そのひとつの答えが映像効果に直結する絞りやシャッター速度の設定は重要で、この組合せを叶えるためにサポートするのが感度という考えです。手持ち撮影をするときにシャッター速度が遅くなった時に感度を上げれば手持ち撮影が可能となります。よって感度はオートで使うのが便利です。そのときに最高感度をどこまで許容するか使用範囲の設定が大切です。高感度にしたときのノイズをどこまで許容するかです。私はISO100からISO6400で使用していますが、かなり柔軟に感度オートを使っています。最高の画質で撮影するときには悩まずにISO100にしています。感度をオート設定や任意感度の設定方法を覚えておかなくてはなりません。

任意に感度を設定するにはISOボタンを押して後ろ電子ダイヤルを回して感度を設定する。または機能ダイヤルISOに設定して設定ダイヤルを回転させて設定する

感度をオートで使用するためにはISOボタンを押した後にグリーンボタンを押す

感度オートの調整範囲を決めるにはINFOボタンからコントロールパネルの左上の感度オートの上限設定を選択する

最低感度と上限感度を前後の電子ダイヤルを回転させて設定する

露出をチェックする方法

次に必要な知識は露出が正しかったかどうかの判断です。撮影後に再生すれば画像をチェックすることができます。ところが明るいところで見るとうっすらぼんやりにしか見えません。そのため、これでいいのかがわかりませんね。それを端的に見るのがヒストグラムです。
フィルムカメラでは現像しないと露出が正しかったかどうかの判断ができません。フィルムカメラではそこを埋め合わせるものは経験値による技術でした。要するに失敗を繰りかえして身に着けた経験値ですから5年や10年という時間がかかります。デジタルは技術の標準化です。その知識さえあれば誰でもすぐに活用できるというのがデジタルの良さです。

ヒストグラムとは

デジタルでの階調表現は階段的な表現となり、256階調で画を作ります。0から255まで、要するに真っ黒から真っ白まで256階調になっているということです。これがデジタルの再現域ということになります。左の0が最も暗い部分で右の255 が最も明るい部分を表しています。ヒストグラムは最小単位であるピクセルがどの濃度にどれくらいあるのかをグラフ化したものです。この見方は専門的に見るといろいろな知識を必要としますが、簡単に露出レベルを見極めることができます。

ヒストグラムを見る方法

撮影したら再生ボタンを押して画像を液晶モニターに再生します。次にINFOボタンを押して表示方法をヒストグラム表示にします。そのときにヒストグラムの両端がどのようになっているかをチェックします。右端にヒストグラムが触れていると露出オーバーを表し、白トビしていることを表します。逆に左端に触れていると黒ツブレを表します

露出調整を簡単に述べると再現域にヒストグラムを収めるということです。山の高さ、形は関係ありません。それらは被写体によって変わります。これを見極めにはグラフの端を見る必要があります。両端がどうなっているかが正確に見えないと、使おうと思っても使えません。その点、PENTAXのカメラの場合は3インチの液晶の中に目一杯に表示されるので非常に見分けがしやすいです。QシリーズからPENTAX 645Zまで同じように作られています。このように大きな表示はPENTAXの特長でもあります。

<適正露出>

デジタルの再現域に露出がおさまっていることがわかる

<露出オーバー>

ヒストグラムが右に寄っていて白トビしていることがわかる

<露出アンダー>

ヒストグラムが左に寄っていて黒ツブレしていることがわかる

ヒストグラムの活用


<シクラメン>

例えば白トビをしている場合はヒストグラムが右に偏っているわけです。そのときに左の空きを見ます。まだ再現の余地があればヒストグラムを左に動かせばうまく収まることになります。これが露出のマイナス補正です。また、その逆がプラス補正ということになります。フィルムカメラでそれを理解するには経験値であるからして時間を要することになります。露出の状況がある程度判断できるのがヒストグラムです。PENTAXのヒストグラムの表示は大きくわかりやすいのです。だから大いに活用することをオススメします。

そこでひとつだけ注意すべき点があります。露出の状況が見えるためにわずかの白トビや黒ツブレを露出補正でなんとか対応しようとします。その状態がわずかであれば許す寛容な気持ちを持つことが大切です。どうしても処理できないこともあります。全体的に破綻している部分が小さければ無視してください。よくある例ですが、明るい曇りの空は白トビしやすいです。なぜかというとその状況と晴天の青空と比べると明るい曇りのほうが明るいのです。そういう場合は空の面積をできるだけ最小にします。

まとめ

先ほども述べましたが、デジタルとは全ての技術の標準化です。それは知識さえあれば誰でも使えるように作られているということです。シャッターボタンを押せば、大体平均点の写真が撮れます。写真はそこから先が面白いのです。そのためには写真の知識が必要になります。このコラムがPENTAX K-1を使いこなすための基礎知識となれば幸いです。

ヒストグラム

輝度分布と言って再現する階調に対してその分布が見えるために露出の状態が一目でわかる

特にPENTAXのヒストグラムは、表示が大きく両端がよく見えるので使いやすい

露出補正が的確にできるため露出の精度があがる

フィルムカメラで露出をマスターするには失敗を繰り返して身に着けなくてはならない
デジタルカメラは知識さえあれば誰にでも露出の調整がすぐに扱えるようになる

筆者

池永 一夫
いけなが かずお

東京写真大学卒(現・東京工芸大学)、写真大好き人間。一日一写、写真俳句を日々の楽しみにしている。リコーイメージング株式会社リコーイメージングスクエア銀座勤務。武蔵野美術大学の非常勤講師を勤めるなど、カメラ、写真の講師としても活躍中。一滴会同人。

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