第8回
EXPOSURE 2 - 露出を操る 2 【スマートファンクションの活用】
3つのダイヤルによるデジタルに適した操作系
前回は撮影の準備段階の露出仮設定の手順までお話しました。さて、散策を始め実際に動物を見付けたら、そこから絞りとシャッタースピードをそれぞれ微調整して狙った表現へ導きます。フィルムの頃はそれでよかったのですが、デジタルになった今、撮影者は露出のもう一つの要素である『感度』を一枚ずつ変えることも出来るようになりました。フィルムでは考えられなかった高感度が実用となり、撮影領域が飛躍的に広がりました。これらはデジタル化の最も大きな恩恵の一つですので、私はデジタルに移行してから感度も積極的に変更して撮るようになりました。K-3IIまでは感度を変えるにはISOボタンを押してからダイヤルを回す一手間がありましたが、K-1とKPに搭載されたスマートファンクションはファインダーから眼を離すことなく第3の独立したダイヤルによって感度をダイレクトに変えることが出来るようになりました。言い換えると、旧来の操作系はフィルムカメラで確立されたものを引きずっており、「感度を頻繁に変える」というデジタルで新たに加わった操作を後付け的に無理やり付け足していたように思います。スマートファンクションによる3ダイヤルでのデジタルに適した操作系は現在最も進んでいると感じており、K-1発表時には「感度を独立して操れる第3のダイヤルの搭載」に大喜びしました。
スポット測光でなるべく狭い範囲を自分で測りながら露出を調整する際に、露出の3要素である【ISO感度】【絞り】【シャッター速度】のどれを優先してどれを妥協するのか…。それぞれをダイレクトに変更できるという露出決定のための理想の操作性が、第3のダイヤルにより完成したのです。
プロフィール
花谷 タケシ
京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。
オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit
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