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第7回
EXPOSURE 1 - 露出を操る 1 【スポット測光のすすめ】

  • PENTAX K-5 + smc PENTAX-DA60-250mmF4ED[IF] SDM
    輝度差があり、主要被写体のシープが白という状況。この場合、主要被写体と同じ光線下にある手前の地面で反射率が±0に近そうなところをスポット測光して基準とする。その後スポットサークルをシープに合わせ+1.5~2.0位の値が出ていればシープが白く写ると確認できる。背後の日陰の山は-3以上であれば黒潰れしていないと確認できる。

  • PENTAX K-5 + smc PENTAX-DA60-250mmF4ED[IF] SDM
    白鳥、逆光できらめく川面、凍った川岸と一見難しそうな状況。事前に凍った川岸と白鳥をスポット測光で+1.5~2.0程度になるようにマニュアルで露出を固定しているため、氷の上を助走して飛び立つ白鳥を追って構図内に川面の反射が飛び込んできても影響を受けない。 分割測光+自動露出ではアンダーになったかもしれないし、当然露出補正している時間も無い。

  • PENTAX K-5 + smc PENTAX-DA60-250mmF4ED[IF] SDM
    リスなどの小動物は素早い動きで日向や日陰を行き来するので結構難しい。日陰に入ったので咄嗟に±0に近そうなリスの背中辺りをスポット測光しグリーンボタンを押すと、ハイパーマニュアル機能で測光部分が適正露出になるようにカメラが自動で露出を決めてくれる。日陰なので少しアンダーの方が見た目に近く、このままだと背景の空がとぶのも事前にわかっているが、小動物はハイキーにすると優しい感じになるのでそのまま撮影。必要であれば絞りかシャッター速度で即座に微調整も出来た状況。

  • PENTAX K-5 + smc PENTAX-DA60-250mmF4ED[IF] SDM
    突然のシャッターチャンス。主要被写体のクマは黒で白い車が2台。分割測光+自動露出でもたぶん問題ない状況だが、カメラはスポット測光+マニュアル露出にセットされた状態。モードダイアルを回してオートに変更するよりも、そのままファインダーで被写体を確認しつつ露出調整する方がチャンスを逃しにくい。この状況ではクマの手前の草の緑が±0程度のはずなのでスポット測光してグリーンボタンを押す。そしてスポットサークルを手早くクマと白い車に合わせてみてそれぞれ黒潰れ、白飛びしていないことを確認。一連の動作をファインダーで状況確認しながら行える。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    ビーバーがこちらへ向かって泳いでくる。スポット測光で手前の水面が少しアンダーになるようにマニュアル露出で露出を固定。ビーバーが泳ぐことで水面が波立ちかなりの範囲が反射しているが、露出が影響されることはない。自動露出だと反射に影響されて露出が安定せず、変化し続ける露出に対して補正など追い付かない状況。

  • PENTAX K-1 + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
    逆光だが砂利の部分が中庸な灰色で基準となりそうなのでここをスポット測光しマニュアルで露出を固定。あとは光線状態が変わらない限り、チャンスと構図に集中していればよい。RAW撮影なので、現像時にソフトで暗部を少々持ち上げられることなども考慮済み。写真の上達にはインプットであるカメラとアウトプットである現像ソフト両方の習熟が求められる。

スポット測光+マニュアル露出

写真撮影には「感性」と「理論」の二つの要素があります。前者は各々で「磨くもの」ですが、後者は「学ぶこと」で誰でも理解して実践することが出来ます。以前露出調整について少し触れましたので、今回から数回に渡り私の露出設定手順や露出に関する考察など書いてみたいと思います。

私は基本的にスポット測光+マニュアル露出で撮っています。何故ならその組み合わせが「最も自分の意図した露出を決められるから」です。分割測光というのは過去の膨大な撮影データを元にカメラによって分割測光・演算され、「適正と思われる値」に自動でセットされるものです。チャンスを活かしたいスナップ撮影の場合は分割測光を使うことも「あり」だと思いますが、自ら露出を操りたければ少しでも狭い範囲を測って「自分で読む」必要があります。そのためのスポット測光ですが、スポット測光は必ずしも『主要被写体』を測るものではありません。構図内のどこでも測りたいところを測るものです。私は撮影に入る際、動物を見付ける前から現場をスポット測光して仮の値をセットしておきます。PENTAX機であれば、マニュアル露出でグリーンボタンを押せばカメラが絞りとシャッタースピードを自動でセットしてくれます(ハイパーマニュアル)。この時大切なのは、内蔵露出計は反射光式ですから反射率が±0に近い色を探してグリーンボタンを押すことです。そして中央のスポット測光サークルを反射率の異なる色数ヶ所に合わせて露出インジケーターの値を読み、設定に確信を持てるか確認していきます。つまり、「何色ならどれくらいの反射率か」ということを知って覚えておく必要があります。文章ではわかり難いですが、これが理解できていれば露出を自分の思い通りに操ることができます。Beautiful Photo-lifeのアーカイブスに『色と光の反射率 ~こだわりの色再現~』という連載がありました。合わせて読んで頂くと理解し易いかと思います。背景となる現場の露出が適正であれば、そこにどんな色の動物が現れても基本的に露出が大きく外れることはありません。一方で「晴れ→曇り」「順光→逆光」「日向→日陰」など、現場の光線状況が変化したら測光し直す必要があります。

カメラのスポット測光を使う時は、単体の反射光式スポットメーターがカメラに内蔵されているとイメージするのがわかり易いかもしれない。写真はPENTAX デジタルスポットメーター(生産完了品)。専用品は更に狭い範囲を測光出来るが手間と時間が掛かる。実際に撮影するカメラ+レンズを覗きながら測光出来るカメラ内のスポット測光なら撮影リズムを崩さないし、動体にも即応出来る。

プロフィール

花谷 タケシ

京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。

オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit

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