第6回
The Wild Beast - アメリカバイソン
忍耐と運が必要なバイソン。リモート撮影を有効活用
前回の小動物とは対照的に、今回は北米に生息する陸上動物の中で最大のアメリカバイソン【American Bison】です。大きなオスの成獣では肩高180cm、体重1トンほどにもなります。
バイソンは、北米において人類により最も翻弄された野生動物といえるかもしれません。ヨーロッパ人が北米へ移入する以前、その生息数は約6千万頭であったと推測され、アラスカからカナダ西部、アメリカ本土からメキシコ北部にかけて分布していました。しかし乱獲により1890年頃には1,000頭未満に激減し、野生個体群としてはアメリカのイエローストーン国立公園とカナダ北西準州のウッド・バッファロー国立公園に残るのみです。現在では保護の動きが強く、各地で再導入されています。今では約50万頭が家畜として、そして約1万5千頭が野生で生息していると考えられています。ユーコンでは約800年前に絶滅したものの、1980年より再導入されました。
バイソンは存在感があるものの動きが乏しく、画になる瞬間を捉えるには忍耐と運が必要です。今回掲載のアップの写真は、草を食べながらゆっくりとほぼ直進するバイソンの習性を利用し、進行方向上にPENTAX KPを地面に直置きしてスマートフォンアプリのImage Syncを使ってリモート撮影したものです。遠隔撮影に特殊機材を必要としたのは昔の話。写真のデジタル化と通信技術の融合で、手持ちのもので誰でも気軽に特殊撮影に挑めるようになりました。
プロフィール
花谷 タケシ
京都市出身。独学で写真を学び、1998年カナダに渡航。西海岸から東海岸まで車で横断した後、カナディアンロッキーで過ごす。ここで次第に熊に魅せられさらなる北の大地アラスカや極北カナダに撮影フィールドを移していく。2007年にカナダへ移住し、2010年よりユーコン準州ホワイトホース市を終の棲家とし定住。《人間》対《自然》ではなく、人間も自然の一部として他の生きものたちといかに《共生》していくかを模索しながら、極北の厳しい自然環境の中で生きる野生動物の姿を追い続けている。
オフィシャル・ウェブサイト:熊魂 yukon-bearspirit:
www.yukon-bearspirit.com
フェイスブックページ:
www.facebook.com/yukon.bearspirit
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