紅葉のカラマツ林を立体的に仕上る
昨年の11月に帯広郊外の紅葉のカラマツ林をRAWデータで撮影しました。このRAWデータをどのように現像したら見た目の立体感を表現することができるでしょうか。デジタルは豊富な階調をもつ反面、フィルムと違ってメリハリ感のないフラットなデータです。撮影したままのデータは御覧のように立体感に乏しいわけです。そこで専用ソフトPENAX Digital Camera Utility4(バージョン4.30)を使って立体的に仕上る現像法を紹介します。
立体感を出すには
「露出/トーン」を選んで調整をします。まず、若干の露出不足を増減感で+0.5EVにして全体を明るくします。次にトーンカーブの調整をします。前にも紹介したように、両端を詰めるという「レベル補正」の技を使います。詰める数値はモニターを見ながら決めます。ここでは暗部に15、明部に240という数値を入れました。この数値は写真によって変わるため、いろいろと試してみます。経験が重要となりますが、この詰め方がノウハウとなり、これもひとつの写真の面白味になってくると思います。
このメカニズムは両端を詰めることでトーンカーブの傾きが大きくなり、コントラストが出てきます。結果、見た目の立体感が増してくるというわけです。また、トーンカーブの形は変えませんから、色が転んでしまう心配もありません。
覆い焼きの機能を使って
暗部を詰めることでシャドー部が暗くなります。見た目を重視するにはシャドー部を明るくしなければなりません。そこで活躍するのが「覆い焼き」の機能です。範囲を指定することなく、シャドー部を明るくします。また、色が転ばないという大変に重宝な機能です。最大100までの数値があり、今回は20に設定しました。
カラー微調整を使って
このソフトの優れた点のひとつにカラー微調整があります。この機能は特定色のみを強調したり、抑えたりすることができます。ここでは黄金色に輝くカラマツを強調してみたいと思います。
まず、カラー微調整を開いて、設定にチェックを入れます。8色に分かれた部分のオレンジ色の白点を左クリックして外側へ伸ばします。外方向で強く、内方向で弱めます。その強弱の度合は伸ばす長さで決まります。また伸ばす方向に角度をつけると、あえて色味を変更することも可能です。
明度を調整して輝きを強調
最終の仕上げはカラー微調整の中にある明度を調整して、カラマツの輝きを強調します。右方向で明るくなり、きらきら輝くカラマツ林をより魅力的に表現することできました。これらの機能が簡単に扱えて効果が大きいことがペンタックスのソフトの特長です。ぜひお試しください。
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黄金色に輝くカラマツ林 K-5+smc PENTAX-DA17-70mmF4使用
絞り優先、絞り:F8、シャッタースピード:1/160秒、感度:ISO500、カスタムイメージ「鮮やか」、ホワイトバランス「オート」、RAWデータをPCで現像 |
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