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連載コラム 写真三昧 SHASHIN ZANMAI
プロフィール

 

池永 一夫
いけなが かずお

 

東京写真大学卒(現・東京工芸大学)、写真大好き人間。一日一写、写真俳句を日々の楽しみにしている。リコーイメージング株式会社リコーイメージングスクエア銀座所長。武蔵野美術大学の非常勤講師を勤めるなど、カメラ、写真の講師としても活躍中。一滴会同人。

リンク ペンタックスファミリー 光と色の反射率 by Dr.M

K-mのデジタルフィルタ体験記

新製品のペンタックスK-mを早速に使用してみました。このカメラは、いわゆるAPS-Cサイズのセンサーを使用するカメラにおいて世界最小を誇り、簡単な操作による写りの良さを特長としています。

簡単操作はシャッターを押すだけで、ベテランが目指す質の高い写真を写せるようにした点です。従来のオートピクチャーやシーンモードを見直し、柔軟な感度設定や、カスタムイメージ、手ぶれ補正、シャドー補正、ダイナミックレンジ拡大といった最新の機能を総合的に組み合わせることによって、初心者の方でも満足度の高い写真を写せるようになりました。実際に使用してきれに写るのには驚きました。特に難しい暗いところでの雰囲気描写は抜群です。これらのレポートは改めて別の機会に行いたいと思います。今回はK-mのおもしろい写真作りのひとつであるデジタルフィルタに絞ってレポートします。

デジタルフィルタ機能とは

デジタルフィルタは、コンパクト機にも従来の一眼レフにも採用している機能で、ペンタックスの特長ともいうべきものです。デジタル化によりパソコンを使ってのさまざまな画像加工が可能となりました。その加工をパソコンで行うのではなくボディ本体で行い、ソフト、モノクロ、セピアなどの画像加工が楽しめます。K-mは14種類の機能の重ね使用やカスタム化によって、さまざまな加工が可能で、ボディ本体で加工したとは思えないほどの完成度です。今回はそのなかでも特筆すべき新機能の「水彩画」に限ってレポートします。

画家の気分になれる新機能の「水彩画」

絵を描く才能があればどんなに良いかと思うことがあります。この新機能はまさにその夢を叶えてくれるものです。特に「水彩画」がおもしろく、水彩絵具で描いたようなタッチでなかなかの仕上がりです。

シャープな部分には、はっきりした縁取りができ、ぼけた部分に淡い絵具を塗った感じに仕上がります。全体に元画像より若干明るめに仕上がります。写真1の場合ですと、青空と雲の描写がいかにも水彩画のようです。

写真1 K-m + smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limitedで撮影 写真1を水彩画処理。雲の描写に味わいが

操作はきわめて簡単

1:「デジタルフィルタ」を選択 2:「イラスト」を選択
3:「水彩画」を選択 4:「新規保存」を選択
5:10秒ほど待ちます 6:完成

デジタルフィルタはふたつの処理方法があります。撮影時と撮影後の再生から行うものです。画像処理に時間を要しますので、撮影時よりも撮影後の処理がオススメです。また、撮影後の処理は元画像をそのままに水彩画が新規保存されますのでリスクもありません。

操作はまずデジタルフィルタ処理する画像を再生します。次にメニューからデジタルフィルタを選択し(1)、次に十字キーで14種類のフィルタからイラストを選択します(2)。イラストはパステル画と水彩画があり、水彩画を選択(3)してOKボタンで決定します。画面から「フィルタを重ねる」「新規保存」の選択をします。今回のデジタルフィルタは次々に重ねて使用できるようにしています。この処理のみを保存するには新規保存(4)を選んでOKボタンで実行します。保存には複雑な演算処理をしていますので約10秒を要します(5)。

写真2 K-m + smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limitedで撮影

時間的には長く感じますが、それをパソコンでおこなうには画像加工の相当に高いスキルと作業時間を要します。それがボディ本体だけでわずか10秒ほどでできるのです。

写真2を水彩画処理。なんでもない風景が魅力的な水彩画に変身

輪郭のはっきりした写真は線画に

写真3 K-m + smc PENTAX-DA 16-45mm F4ED ALで撮影

建築物のように輪郭がはっきりした写真は線画になります。またその線の太さも適度に違いがあり、実に描いたかのような仕上がりです。それが本体で処理できるのですから、撮影した後のデジタル処理が楽しみになりました。再生画像からどのデジタルフィルタをかけようかと楽しみが膨らみます。

写真3を水彩画処理。まさに線画。線のタッチにも微妙な変化があります

変哲もないカラマツ林も水彩画に

写真4 K-m + smc PENTAX-FA 35mm F2ALで撮影

上高地の梓川沿いのカラマツ林を撮影して水彩画処理をしました。水彩画というよりも細かなスケッチ画です。変哲もない写真が魅力的な写真に変身しました。このようにデジタルフィルタ処理は思いもよらない効果が生まれるのです。それもパソコンなしでできるのです。

なお、デジタルフィルタはペンタックスのデジタル一眼レフに搭載してきた機能のひとつです。残念ながら、これまではあまり注目されませんでした。その種類を充実させたのがK-mで、特に水彩画ができるのはK-mだけです。そのほかにトイカメラやレトロなど、まだまだ面白いデジタルフィルタがたくさん搭載されています。さらに、それらの重ね使用による表現は無限大です。

写真4を水彩画処理。変哲もないカラマツ林もご覧のとおりに大変身