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連載コラム 写真三昧 SHASHIN ZANMAI
プロフィール

 

池永 一夫
いけなが かずお

 

東京写真大学卒(現・東京工芸大学)、写真大好き人間。一日一写、写真俳句を日々の楽しみにしている。リコーイメージング株式会社リコーイメージングスクエア銀座所長。武蔵野美術大学の非常勤講師を勤めるなど、カメラ、写真の講師としても活躍中。一滴会同人。

リンク ペンタックスファミリー 光と色の反射率 by Dr.M

オートフォーカスの機能を活用して写す(3)

今回はAFモードの測距エリアをセレクト設定にして撮影する方法をお伝えいたします。セレクトは測距点を任意に選んでオートフォーカスを働かせるモードです。このモードは、測距エリアをファインダー内のいくつかの場所に移動させることができるため、オートフォーカスの最も基本的な選択方法ともなります。K10D、K100D、K100D Superは測距点が11点あり、より広い範囲をカバーしています。測距点の選択は十字キーを使ってピントを合わせたいポイントを選択します。

デジタルのピント合わせは構図が先

 
K10Dの場合はここで測距点をSEL(セレクト)に設定します   11点測距の配置図。測距点を移動させたりすると機能している測距点が赤く点灯します(全灯はししません)

ファインダーを覗いて構図を決めるとき、ピントを合わせる場合、みなさんはどうするでしょうか。測距点が中央にひとつしかなければ、測距点で一旦ピントを合わせておいて、再度構図を取り直します。このときフォーカスロックを使いますね。

フォーカスロックというのは、AFモードをシングル(AF.S)にしてシャッターボタンを半押しにしてピントを合わせます。その半押しの状態を保持したまま(ピント位置の保持)、カメラを動かして構図を決め、シャッターボタンをさらに押し込んでシャッターを切ります。この方法がデジタルにも同様に使えるかというと、厳密にはオススメできないということをお話ししたいと思います。

デジタルでは許容できないコサインボケ

このフォーカスロックを使う場合、『コサインボケ』と呼ばれるボケに注意していただきたいと思います。コサインボケとは、フォーカスロック時と構図を取り直したときとで、カメラ向きに角度が生じます。このわずかな角度によって、合わせたい位置よりも奥にピントが合ってしまう「後ピン」現象が出てしまうことです。

もちろん、これはフィルムのときにも同様にあったのですが、フィルムではそれが目立ちませんでした。ところがデジタルになってセンサーが鏡のようにフラットになり、高い解像力によってわずかなピントの誤差も簡単に見つけられるようになりました。特に大口径レンズを開放F値で撮影すると皮一枚の浅いピントをきちっと表現できてしまいます。これが今日、デジタルのすばらしい面であると同時に、シビアなピント合わせを要求することになっています。

測距エリアをセレクトモードにする理由

写真1
 
 
「A」は中央でフォーカスロックした後に構図を作り直す   「B」は構図を先に決めて左端の測距センサーを使う
 
 
A1   B1
 
 
A2   B2

では具体的にどのように対処をすれば良いのでしょうか。それを解決するのが測距選択のセレクトモードです。写真1のような構図で、向かって左側の眼にピントを合わせて写す時を例にしてみましょう。

測距ポイントを中央にしてフォーカスロックで構図を作り直したのが「A」。測距点セレクトモードでピントを合わせたのが「B」です。smc PENTAX-FA 77mm F1.8Limitedを使って絞りを開放(F値1.8)で撮った画像が「A1」と「B1」です。「A1」は明らかにピンボケであるのに対し、「B1」はピントがしっかり合っていることがわかります。

同一条件でF値を4にして撮影したのが「A2」と「B2」です。両者を比較すると共にピントが合っていることがわかります。これは絞り込むことによって被写界深度(ピントが合って見える範囲)が広がったことで救われたためです。従来のフォーカスロックを使う場合は、F4以上に絞り込むことによってコサインボケを回避することができるということになります。

レンズキットに装着されている『smc PENTAX-DA 18-55mm F3.5-5.6AL』や、望遠ズームの『smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6ED』などは、開放F値がF4クラスのためコサインボケも気にする必要はなさそうですが、正確なピント合わせは測距点を選択して合わせた方がより正確であるということです。