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連載コラム 写真三昧 SHASHIN ZANMAI
プロフィール

 

池永 一夫
いけなが かずお

 

東京写真大学卒(現・東京工芸大学)、写真大好き人間。一日一写、写真俳句を日々の楽しみにしている。リコーイメージング株式会社リコーイメージングスクエア銀座所長。武蔵野美術大学の非常勤講師を勤めるなど、カメラ、写真の講師としても活躍中。一滴会同人。

リンク ペンタックスファミリー 光と色の反射率 by Dr.M

オートフォーカスの機能を活用して写す(2)

今回は、前回に予告いたしました測距エリアのセレクト設定に触れる前に、フォーカスモードの切り替えについてお伝えしたいと思います。

ふたつのオートフォーカスモード

K10Dのフォーカスモードレバー。AF.S(シングル)とAF.C(コンティニアス)があり、用途に応じてこのふたつを切り替えて使用可能です

さて、フォーカスモードの切り替えにはオートフォーカスとマニュアルフォーカスがあります。さらにK10Dは、オートフォーカスモードにはAF.S(シングル)とAF.C(コンティニアス)があり、このふたつの切り替えができるようになっています。

シングルはシャッターボタンを半押しにするとオートフォーカスが働き、ピントが合うとフォーカスロック(ピント位置が固定)がかかり、さらにシャッターボタンを押し込むとシャッターが切れます。このモードではピントが合わないとシャッターを切ることができません。動きのない被写体ではこのモードを用います。いったんピントを合わせたのちにフォーカスロックをした状態で構図を作り直す、といったときもこのモードを用います。オートフォーカスでは一般的にこのモードを用います。

それに対してコンティニアスモードでは絶えずピントを合わせ続けます。動いている被写体向きといえます。シャッターはいつでも切るとこができます。今回はこのコンティニアスモードを使った撮影法をご紹介します。

動きのある被写体にはコンティニアスモード

撮影地は三陸海岸の北山崎です。遊覧船に近づくカモメを撮影するために測距点を画面中央に選択しました。カモメを画面の中央に入れながらシャッターボタンを半押しにします。フォーカスモードはピントを合わせ続けるコンティニアスモードです。カメラはカモメの動きに合わせてパン(向きを変える)する流し撮りの状況です。ですので、シャッター速度も高速を選ぶべく、感度をISO400に設定してみました。写真1と写真2では、レンズの焦点距離を31mmから40mmにしてさらに大きく捉えてみました。

写真1 K10D+smc PENTAX-DA 16-45mm F4ED AL。焦点距離:31mm、F値:8、シャッタースピード1/400秒、ISO400
 
写真2 K10D+smc PENTAX-DA 16-45mm F4ED AL。焦点距離:40mm、F値:8、シャッタースピード:1/400秒、ISO400

ここで驚いたのが、動きのあるカモメをジャストフォーカスで撮影できたことです。このコンティニアスモードでは、動体予測という人の手ではできない離れ業をカメラがやっているのです。

コンティニアスモードと動体予測

デジタル一眼レフカメラは、CCDなどの撮像素子(センサー)の前にシャッター、さらにミラーがあります。シャッターを切るとそのミラーが上がり、次にシャッターが作動します。シャッターを切ってから実際にセンサーに光が届くまでにはこれらの動作を行っておりますので、多少の時間差が生じています。これをレリーズタイムラグと呼んでいます。

たとえば、100mを10秒で走るランナーがいるとします。走るスピードが一定だとすれば、その速度は10m/秒。レリーズタイムラグが仮に1/10秒だったとする場合、シャッターを切ってからセンサーに光が届くまでに10×1/10=1m前に進むことになります。これを前から撮影すると、1m分のピントが後ろに残ってしまい、ピントがはずれてしまうことになるわけです。コンティニュアスモードでは、あらかじめこの1m分を先送りする動体予測の機能が搭載されており、精度の高いピント合わせが可能となるわけです。この機能は大変にありがたく、手で合わせることなど不可能なシーンに力を発揮します。刻々と撮影距離の変わる被写体に抜群の威力を発揮します。

K100DやK100D Superなどではピクチャーモードを活用

K100D Superのフォーカスモードレバー。MF(マニュアル)とAF(オート)があり、AFはAF.S(シングル)となります
P/Tv/Av/M/Bのときには、「撮影」メニュー内の「AFモード」でAF.S(シングル)/AF.C(コンティニアス)の切り替えが可能です
K100D Superのモードダイヤル。赤く囲んである部分が「動体モード」です。動きのある被写体を撮影することがはっきりしているのであれば、あらかじめ動体モードに設定しておくことをオススメいたします

ここでK100D、K100D Superを見てみましょう。フォーカスモードの切り替えレバーはAFのみとなっています。このAFは、通常AF.S(シングル)で設定されていますが、動きのある被写体にはどうすれば良いのでしょうか。いくつか方法はありますが、代表的なものとしては動体モードの使用です。読んで字のごとく。このモードは動く被写体を撮影するために作られています。ですので、自動的にコンティニアスモードに切り替わりますし、動体予測も働きます。

操作は簡単。撮影モードのダイヤルを動体モードに合わせるだけ。このモードで撮影したのが下のハトの写真です。着地する直前のところをその前方から撮ってみました。飛び降りながら近づいてくるという、とても手で合わせることのできないシーンです。オートフォーカスの著しい進歩によってこのように動きのある被写体を簡単に写すことができるようになりました。

K100D+smc PENTAX-DA 50-200mmF4-5.6ED。焦点距離:125mm、F値:6.7、シャッタースピード1/1500秒、ISO800

なお、K100DやK100D Superにはペンタックスならではのモードとしてオートピクチャーモード(AUTO PICT)を搭載しております。このモードは被写体の動きを自動的に判別し、被写体に動きがあると判断すると動体モードに切り替わるようになっています。ただし、あらかじめ動きのある被写体を撮影することがはっきりしているのであれば、動体モードに設定することをオススメいたします。