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風景写真家 辰野清 645Dギャラリー

ペンタックス645Dが高画質を実現する理由 35ミリフルサイズより1.7倍もある大型センサーが豊かな情報力を持ち臨場感を見事に再現する

冬の日本海沿岸に立つ松林で朝を迎えた。波浪警報が発令されるなか、風雪による木々の姿も沈黙の趣である。青味が強い日の出前の描写は、立体感を出すのに不向きな条件といえるが、わずかな陰影も逃さず描写する645Dの豊かな階調により、空気感をともなう存在感を描いた。
ペンタックス645D・FA645 150~300ミリ・C-PL・F22オート(.1.0EV補正・1秒)・ISO400・画像仕上げ:ナチュラル・WB太陽光/福井県坂井市三国町梶・1月中旬

 理想の風景写真をイメージし、貴重な時間を写真に費やすのだから、完成度の高さにつながる機材の選択は特に気にしてほしい。脳裏に記憶された映像は美化され、さらに理想を求めてしまいがちだが、その想いをペンタックス645Dの最大の特徴でもある4000万画素の圧倒的な高画質が実現してくれる。
最近は35ミリフルサイズの高画素化が進んでいるが、そのなかで撮像素子が35ミリ判の約1.7倍の大型CCD搭載の効果は大きく、解像度は肉薄しても素子単位の階調の豊かさに明らかな違いを感じる。これはパソコンのモニターレベルでも、もう一度撮影者を現場に誘うかのような臨場感の豊さがはっきり実感できる。
ただ4000万画素ともなると記録サイズがさすがに大きく画像処理と記録時間に時間を使う。やや機動力に欠けることが唯一の欠点であり今後の改善が望まれるところだ。しかし、個人的には時間をかけて想いにふける撮影スタイルが好きなので、その待ち時間も心地良いのかなとも感じている。
一眼レフカメラに多く搭載さ れているローパスフィルターを省略した効果も大きく、背景の林の細かな線描写や木肌のディテールのキレにフイルムに肉薄した描写の共通点を実感できる。ローパスレスはモアレが気になるところだが、素材がランダムに展開する自然風景ではモアレ感はまったく出ないといっても良いだろう。実際この数年使用して不具合を感じることは一度もなかった。

デジタルの弱点を補う機能 輝度差のある場面でも白トビを最小限に抑えるD-Range設定を有効に使おう

 645Dにはデジタルのダイナミックレンジの狭さを補う機能としてD.Range設定のハイライト補正とシャドー補正がある。輝度差のある「逆光で撮る朝夕風景」「太陽のある風景」「渓流などの白い流れや木漏れ日」などでハイライト側を約1段分拡張でき白トビを最小限に抑えるのがハイライト補正だ。フイルムでは粘っていた階調が、いとも簡単に破綻することへの悩みを一掃してくれる便利な機能なので頻繁に使うことが多い。
画像仕上げ「カスタムイメージ」の「リバーサルフイルム」は高彩度・高コントラストが特徴であるが人によっては好みが分かれるところ。私は曇天などでメリハリを出す場面では面白いと思っている。
日頃はカスタムイメージ「ニュートラル」のマニュアル設定で好みの色をアレンジしているが、設定アプローチがマニュアルで細かくでき思う存分に色作りができることに満足している。実際にはパソコンで調整が可能な部分だが、元データの完成度は最終的な出来に影響するので丁寧に仕上げている。

絞り込んだ広角レンズでの背景ではローパスレスの効果が赤裸々に現れる。対岸の朝日に照らされた建物のラインがシャープに描かれ凛とした朝の雰囲気が際立つ。またこの時間帯のシャドー部では色ノイズが入りやすいが、ノイズリダクションの効果もありまったく気にならないレベルに仕上がっている。ここでも氷の質感にD-Range設定の効果が活きた。
ペンタックス645D・A645 35ミリ・C-PL・F22オート(1/10秒)・ISO400・画像仕上げナチュラル・WBオート/長野県岡谷市,諏訪湖・1月初旬

初めて撮った時の衝撃 「フィルムのようなイメージで撮れた」

冬を耐える動物の生々しい足跡と、光が入った直後の新雪の柔らかさに魅かれカメラを向けた。背景の川はまだ暗く冷えた空間に佇む。この輝度差はフイルムでも再現できるかと不安がつきまとうが、D-Range設定のハイライト補正によってイメージどおりの仕上がりとなった。645Dの描写力を見せつけられた瞬間だった。
ペンタックス645D・FA645 45~85ミリ・C-PL・F22オート(+1.3EV補正・1/25秒)・ISO200・画像仕上げ:ナチュラル・WBオート/長野県開田村・1月初旬