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金田正人の自然かんさつのススメ
5. 観察を記録してみよう
写真・文:金田正人

自然観察を記録する

フィールドノートには気づいたことは何でも書き込んでおこう

自然観察をするための道具を揃えて野外を歩いてみると、これまでなんとなく眺めていたものに沢山の驚きと発見が得られます。これが自然観察の醍醐味ですが、それだけでは自然観察というのに物足りないと思われる方もいらっしゃるかもません。

自然観察とは、自然を観て察すること。つまり、「あ、この花のこの部分はこうなっているんだ!だったら、あっちに咲いている花は?」という「!」と「?」を持ちながら観て察することなんだろうと思います。そのためには、「!」を残しておくことが大切です。

一番シンプルで一番役立つのはノートと鉛筆です。どんなものでもいいのですが、元々、測量に用いられたもので、自然観察をしている人には一般的なものに「フィールドノート(野帳)」と呼ばれるものがあります。表紙が堅いので立ったままでも記録を取りやすい野外記録専用の手帳もあります。ほかにも、防水紙でできているものは、雨の時に便利なのはもちろん、濡れた手で使えるので海辺や川での自然観察に便利です。また、欧米では一般的で映画にもよく登場するモレスキンという会社の製品などのように、「カッコイイ」手帳を使ってみたりすると記録すること自体が楽しくなるかもしれません。

田んぼでカエルの産卵調査、濡らしてしまうフィールドでもOptio W60は大活躍

次に欲しい記録のための道具としては、やはりカメラでしょう。一眼レフカメラがあれば、見え方自体も変わってきてますます楽しくなるかもしれませんが、コンパクトカメラでもメモ代わりに使えて便利ですよ。フィールドノートにスケッチをする時間がないときでも、パシッと一押ししておけば、後でじっくり確認ができます。

そのときに注意しておきたいのは「どこで何を撮ったものか」がわからなくならないようにしておくことです。ビデオや動画で撮影してコメントを入れておくというのも手ですが、そうすると後で見直すときに丸まる見直さなければならないので効率があまりよく有りません。僕はデジタルカメラで撮ったときにはフィールドノートにいつどこで何を撮影したかのメモをとるようにしています。

音を残しておきたいという時に便利なのは、ICレコーダーです。やはり最近ではコンパクトでメモリーも大きく使い勝手のよいものが沢山あります。聴いた鳥や虫の声をそのまま録音して、いつどこで録音したかというコメントを一緒にとっておけば、そのままで貴重な記録になります。

写真や録音は、自分がわからない鳥や虫について、後から詳しい人に訪ねるときにも便利です。けれどカメラやレコーダーは決して安い物ではないですし、わざわざ準備するのは大変という方もいらっしゃると思います。無理をする必要はありません。携帯電話のカメラとメモ機能で十分です(ただし、昆虫やカエルの声などはヒトの声と音域が違いすぎるため、携帯電話の録音機能では録音できない場合があります)。携帯電話で撮影や録音すれば、詳しい人に問い合わせる時にそのままメールできてしまうのも便利ですね。

そんなわけで出かけてみよう

これまで自然観察をするため道具を紹介してきましたが、改めて見直してみると、自然観察専用の道具というのは実はあまりありません。虫眼鏡は自然観察に出かけないときはおばあちゃんに貸してあげれば重宝がられるし、双眼鏡は自然観察以外にもスポーツ観戦に使えます(普段から持って歩くと、ちょっとした遠くのものを観るのにとても便利。例えば、バス停まで歩いているときに時刻表を遠くからみてゆっくり歩けるか走らなきゃだめかの判断したりもできます・・・?)。それ以外の道具も、元々、専用の道具ではありません。普段の身の回りのものを使って、野外をお散歩するだけで実は立派な自然観察の機会になります。さぁ、自然観察に出かけましょう。

金田正人氏について

かねだまさと

財団法人日本自然保護協会
自然観察指導員

神奈川県横浜市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒。学生時代から東京を中心に自然観察会を開催。卒業後は、主な活動場所を三浦半島に移し、環境教育や自然保護活動を展開。1991年自然観察指導員講習会を受講。1994年から2005年同講習会講師。1995年に神奈川農環境自主保全協力グループ「こさく」を、1996年に三浦半島自然誌研究会を仲間と設立。最近では外来生物問題(特にアライグマ)対策にも取り組んでいる。生物多様性JAPAN研究員、逗子市環境審査会委員。

財団法人日本自然保護協会
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