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KOKO DOKO 56

鯖街道の大原口と桝形通

昔、日本海の魚を京都へ運んだ若狭街道。その出入り口の大原口。
レトロな雰囲気が懐かしい桝形通の商店街は活気にあふれている。
文・写真 = 内藤靖正

賀茂川を渡る出町橋の西詰に、この辺り「出町柳」の地名の起源とされる柳の大木があり、その木陰に「鯖街道口」の石標が立っている。鯖街道とは、大原から途中峠など、いくつかの峠を越えて若狭(福井県)に通じる若狭街道のことで、日本海の魚をこのルートで京都へ運んだところから鯖街道、魚街道と呼ばれていた。

少し西の「大原口町」の一角に、慶応4年(1868)建立の大きい石の道しるべがある。ここは若狭街道の起点にあたり、天正19年(1591)に豊臣秀吉が完成させたお土居(土塁)の大原口が設けられていた場所で、人の出入りが多かったという。

出町橋の西、桝形通は古くからの商店街。背の高いアーケードの下に鮮魚・乾物、青果、総菜、精肉、京漬物、和菓子、パン工房、衣料・雑貨など、さまざまな店が軒を連ね、活気にあふれている。近くには大学のキャンパスがあり、若者の姿も多い。

商店街のすぐ南には食事どころ出町ろろろがある。ここは大原の農家が丹精込める無農薬野菜を使った和食のレストラン。落ち着いた町家で昼ごはん、夜ごはんが楽しめるところから、まち歩きの観光客も訪れる人気店だ。

桝形通の西端、寺町通に面して白いのれんが目立つ司津屋は、立派な町家で営む老舗のそば屋。ここでは近隣の常連客のほか、うわさを聞いて遠方からの人も多いとか。店主おすすめのかもそばをはじめ、ざる、天ざるも喜ばれており、それを味わう店内の雰囲気も申し分ない。

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6アーケード街の桝形通は古くからの商店が軒を連ね、買い物客らでにぎやかだ。
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1出町橋西詰に立つ「鯖街道口」の石標。その詳しい由来の文字が刻まれている。
 
2出町橋西詰にある妙音堂。伏見宮家伝来の弁財天を祭る。京都七福神のひとつ。
 
3大原口町の道しるべ。「上賀茂三十丁」、「比叡山三り」などと刻まれている。
       
     
4大原の新鮮な野菜をメインに使った和食が楽しめる出町ろろろ。すてきな町家。
 
5重厚な町家の店を構える司津屋は評判のそばどころ。まち歩きの足を休めたい。
   


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出町ろろろ

●午前11時30分~午後2時/午後6時~9時(ラストオーダー)/火曜と第1・第3月曜休み
●ろろろ弁当1,050円、お昼のミニ会席2,520円(予約を)、夜の会席1,580円、2,630円など。
075-213-2772

そばどころ 司津屋

●午前11時~午後3時/午後5時~8時/火曜休み
●ざるそば750円、かもざる900円、にしんそば950円、天ざるそば1,250円、親子丼850円など多彩。
075-255-2819

※掲載内容は2013年8月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

 
KOKO DOKO 57

匂天神町の周辺を歩く

菅原道真を祭る匂天神社と、神社の名が町名になった路地。
人気のカフェや甘味どころもある周辺を探検気分で。
文・写真 = 内藤靖正
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6こちらは路地の仏光寺通側の入り口。奥の匂天神町には京料理の名店などもある。
※画像をクリックすると拡大表示します。
1ビルの一角に移転した匂天神社。菅原道真を祭り、学業成就に霊験があると伝える。
 
2周囲を築地塀に囲まれて、真宗式伽藍特有の形式を見せる仏光寺が威容を誇る。
 
3匂天神町の案内図。数えると路地の両側20軒ほどのコンパクトな町内である。
       
     
4白い壁面にイラストが描かれたcafe marble。おしゃれな空間も人気だ。
 
5お土産に喜ばれる抹茶チーズケーキ、焼き菓子など、各種そろえた茶寮翠泉。
   


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cafe marble仏光寺店

●午前11時30分~午後9時30分(日曜は午後7時)ラストオーダー/水曜休み
●抹茶ミルク、自家製ジャムソーダー各650円、季節のフレッシュフルーツタルト500円、チキンと季節の野菜カレー800円、キッシュプレート850円など。
075-634-6033
URL:別ウインドウで表示http://www.cafe-marble.com

茶寮翠泉

●午前10時30分~午後6時/不定休
●コーヒー500円、まろ濃い抹茶オレ630円、抹茶クリームわらび餅780円、栗抹茶ぜんざい880円、翠泉パフェ980円、鯛茶漬け1,200円など。
075-278-0111
URL:別ウインドウで表示http://www.saryo-suisen.com

※掲載内容は2013年8月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

烏丸通のすぐ東に、北は仏光寺通、南は高辻通の間を南北にかぎ形の路地がつないでおり、その路地のほぼ南半分が匂天神町である。民家の塀に掲出している手描きの案内図によると、ここは路地の両側20軒ほどの小さな町内だ。匂天神町の名の起源となる天神さんは、「以前は家のなかにありましたが、近くのビルに移転しました」と、路地で出会った熟年夫婦が教えてくれた。

高辻通に面したビルの一角に匂天神の祠が鎮座していた。もちろん祭神は菅原道真。由緒によると、勧請した人や時期などは不明。明治2年(1869)6月に町名を匂天神町に改めたと記されている。

東へ行くとすぐ、真宗仏光寺派本山の仏光寺がある。建暦2年(1212)、親鸞が山科に建立した興正寺が起源とされ、本尊・阿弥陀如来像を安置する本堂の阿弥陀堂と、聖徳太子像を祭る太子堂が並び建ち、その重厚な雰囲気に圧倒される。

仏光寺の北側には築100余年の町家で営むcafe marbleがある。ここは季節の野菜を使ったキッシュや、フルーツを焼き込んだタルトなどが人気を集め、若い女性を中心に観光客も訪れる。店内の落ち着いた雰囲気も、疲れた足を休めるのにぴったりだ。

高辻通では和のスイーツを楽しめる茶寮翠泉が人気だ。ここでは抹茶をぜいたくに使ったわらび餅、抹茶バームや三笠などでスイーツづくしの翠泉パフェ、抹茶煎茶といったメニューがいろいろ。ビルの1階なのに、立派な町家を模した店内も観光客らに喜ばれている。

ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。