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KOKO DOKO 54

「六道の辻」辺りから八坂通へ

極彩色で彩られた六波羅蜜寺、「六道の辻」伝説で知られる六道珍皇寺から、
観光客を乗せた人力車も行き交う東山エリアを散見。
文・写真 = 内藤靖正
PENTAX K-5Ⅱs smcPENTAX DA18-270mmF3.5-6.3EDSDM(53mm域)分割測光(F11 1/200秒)ISO200 WB太陽光 カスタムイメージ風景 TIFF
6「八坂の塔」と呼ばれる法観寺の五重塔(重文)。大日、釈迦など5仏を祭る。
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1平安末期には平家の屋敷や鎌倉幕府の探題が置かれた源平盛衰の中心、六波羅蜜寺。
 
2檀林皇后の皇子の病気平癒に霊験があったところから「子育(こそだて)地蔵」の名の西福寺。
 
3古くは葬送の地・鳥辺野の入り口にあたり、「六道さん」と呼ばれる六道珍皇寺。
       
     
4飛鳥時代に秦河勝が秦氏の守り本尊として招来。のちに浄蔵貴所が建立した庚申堂。
 
5「コーヒーや洋菓子で人と人をつなごう」をモットーにする前田珈琲の高台寺店。
   

大和大路通を五条から北へ歩くとすぐ、鮮やかな朱塗りの六波羅蜜寺がある。ここは天暦5年(951)に空也上人が開創した真言宗の寺院で、本尊は上人が自ら彫ったと伝える十一面観音立像(国宝)を祭っている。また、西国三十三所観音霊場の第17番札所として広く信仰を集め、観光客や修学旅行生らの拝観が絶えない。宝物(ほうもつ)館に安置する多くの重要文化財も必見だ。

すぐ北隣の西福寺は弘法大師の自刻という地蔵尊を祭り、子育(こそだて)地蔵でも知られる古寺。その斜め向かいでは幽霊伝説の子育て飴(あめ)本舗が、昔ながらの雰囲気の店を構えている。

門前に「六道の辻」の石碑が建つ六道珍皇寺(ちんのうじ)。毎年8月7日から10日にかけての六道まいりは、盆に帰ってくる精霊を迎える行事だ。この辺りはかつて野辺送りの場所で、この世とあの世の境界といわれていた。昼は嵯峨天皇、夜は閻魔大王に仕えた小野篁(おののたかむら)が、境内の井戸から冥土へ通ったという伝説も残る平安前期創建の寺院である。

東大路通に出ると観光客が多い。八坂通交差点では東にガイドブックでおなじみの八坂の塔の風景が現れ、歩く人の足も止まってしまう。塔の手前にある八坂庚申堂は日本三庚申の一つ。本尊に青面(しょうめん)金剛を祭り、病気平癒祈願で知られている。

その北寄りには町家の落ち着いた空間が心地よい高台寺・前田珈琲がある。ここではこだわりのコーヒーや自家製スイーツが評判を呼ぶ。完熟ブラジルコーヒー、高台寺店だけのブレンドコーヒーなども楽しめる東山エリア散策のオアシスだ。午前11時までのモーニングタイムも利用したい。


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高台寺 前田珈琲

●午前7時~午後6時/無休
●ブレンドコーヒー、ストレートティー各400円、チーズケーキ380円、カスクートサンド680円、紅茶フロート650円、名物カプチーノパフェ840円など。
075-561-1502
URL:別ウインドウで表示http://www.maedacoffee.com

※掲載内容は2013年6月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

 
KOKO DOKO 55

人気の路地と菅大臣神社

和雑貨や和食、京料理など、町家の店が人気の路地・膏薬図子と、
菅原道真生誕の地の菅大臣神社まで、ひとり歩き。
文・写真 = 内藤靖正
PENTAX K-5Ⅱs smcPENTAX DA18-270mmF3.5-6.3EDSDM(24mm域)分割測光(F5.6 1/200秒)プラス0.3補正ISO400 WB太陽光 カスタムイメージ風景 TIFF
6町家が連なる膏薬図子。レンタル着物で着飾った観光客も京都らしい雰囲気を楽しむ。
※画像をクリックすると拡大表示します。
1石畳の舗装で京都らしさを演出する膏薬図子。花や植木で表を彩る住民の優しい心遣い。
 
2平将門を祭る神田明神。昔、空也上人も手厚く供養したとか。ここは将門ゆかりの地。
 
3築100年を超す町家の竹中木版・竹笹堂。木版はがき作りも体験できる(要予約)。
       
     
4綾小路通で目を引く重文の杉本家住宅。現在の主屋は明治3年(1870)の再建という。
 
5菅原道真、大巳貴命、尼神の3神を祭る菅大臣神社。幣殿など豪華な建築を誇っている。
   

いま、路地を歩くのが人気だという。路地裏歩きのガイド本も出版されてブームを後押しする。広い通りと通りをつなぐ路地、行き止まりの路地にもカフェや食事どころが店を構え、人気はますます盛り上がる。

西洞院通の1筋東、四条から南の綾小路通へ抜ける膏薬図子(こうやくのずし)(新釜座町)も、京都のガイドブックなどでよく紹介されている「常連」だ。そのガイド本によると、空也上人がこの辺りで念仏修行の道場を建てたのが通り名の由来だとか。図子には平将門を祭る京都神田明神も鎮座する。

図子のなかほどに木版画雑貨の竹笹堂がある。ここは木版印刷の技術を受け継ぐ手摺(てずり)匠・竹中木版のアンテナショップで、オリジナルのぽち袋、しおり、ブックカバー、扇子、うちわなどを販売。和紙が持つあたたかさと水彩顔料の風合いが喜ばれており、2階にはその工房がある。

ほかに京料理などの和食、居酒屋、カフェ、和雑貨、着物レンタルなどの店が点在。観光客らも「探検気分」で散策を楽しんでいる。

西洞院通に出ると、すぐ南に菅大臣神社がある。ここは菅原道真生誕の邸宅跡と伝えられ、天神御所、あるいは白梅殿と呼ばれる大社だった。祭神は菅原道真ほか2神。現在の本殿は明治2年(1869)に下鴨神社の旧社殿を移築、のちに幣殿を建立して八棟(やつむね)造りを成している。北寄りの北菅大臣神社は道真の父・是善卿を祭り、紅梅殿の名がある。道真がここで「東風(こち)吹かばにほひおこせよ…」の歌を詠んだそうだ。


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竹中木版 竹笹堂

●午後1時~6時/日曜、祝日休み
●はがき315円、しおり630円、ぽち袋840円、ブックカバー840円~、うちわ、扇子、各5,250円など。
075-353-8585
URL:別ウインドウで表示http://www.takezasa.co.jp/

※掲載内容は2013年6月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。