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KOKO DOKO 31

西寺跡、羅生門跡かいわい

歴史ファンなら興味深い唐橋西寺町、高田町のあたり。
東寺から西へ、ぶらぶら歩きの徒歩圏内だ。
文・写真 = 内藤靖正
K-5 + smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF]DC WR(48mm域)を使用して撮影。絞り優先AE、絞り:F8、シャッタースピード:1/200秒、露出補正:+0.7、測光:分割測光、感度:ISO200、ホワイトバランス:太陽光、カスタムイメージ:風景
1緑の大樹の陰に礎石が残り、「西寺阯」の碑が建つ。東寺と対称の西寺があった場所。

まちなかで観光客や修学旅行生から、バスの系統や歩くルートを聞かれることがある。その多くは東寺、清水寺、二条城だ。

人気の東寺は五重塔で知られる真言宗の大寺だが、西寄りに東寺と対称の西寺が存在していたことを知る人は少ない。平安京が造営されたとき、東寺とともに創建された西寺は、講堂を中心に南大門、中門、五重塔、僧房などの主要な建物が連なり、威容を誇っていた。その後、990年(正暦元年)の大火のあと急速に衰え、再建されなかったという。

現在、唐橋西寺児童公園中央の緑に覆われた土塁が講堂跡で、国の史跡に指定されている。

公園の北東に鎮座する鎌達(けんたつ)稲荷神社は倉稲魂(うがのみたまの)大神、猿田彦大神を祭る古社。奈良朝初期の創建とされるが、飛鳥時代の仏教伝来の頃の「元稲荷」との説もあるそうだ。

平安京のメインストリート・朱雀大路(現・千本通)の南端には、都の表玄関にあたる羅城門が設けられた。京の内外を区別した重層の楼閣門だが、816年(弘仁7年)と980年(天元3年)の暴風雨で倒壊、荒廃した。いまは「羅城門跡」の石標が残るのみだ。

※下の小さい画像をクリックすると拡大表示します。
22神を祭り、五穀、衣食住、商工業繁栄、いわゆる開運の神とされる鎌達稲荷神社。
 
3「西寺旧跡」の碑があり、寺号を継ぐ浄土宗の西寺。「開山は守敏大師」と由緒に。
 
4東寺の空海、西寺の守敏が勅命による雨ごいの祈祷を競った伝説が残る矢取地蔵堂。
       
   
5794年(延暦13年)の平安京遷都に際して建てられた羅城門跡。小さな公園に碑が残る。
 
6東寺南門から西へ徒歩5分。懐かしい町家で営むケイキ・カフェ・ナインが人気だ。
 

ケイキ・カフェ・ナイン

●午後0時~9時/不定休
●ブレンドコーヒー430円、ケーキセット850円、パスタランチ1,050円、ハンバーグ和風おろしソース1,250円(いずれもドリンクつき)など。
075-662-3551

※掲載内容は2011年8月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

そのそばには九条通に面した矢取地蔵堂があり、東寺の空海と西寺の守敏(しゅびん)が神泉苑で雨ごいを競った伝説が残されている。

羅城門バス停前のケイキ・カフェ・ナインは町家のカフェ。築100年ほどの民家は熟年には懐かしく、若者には新鮮に映り、ここでゆっくり過ごす時間が喜ばれている。人気は自家製のケーキやおいしいパスタ。東寺からぶらぶら歩きで訪れる観光客のスポットだ。

 

 
KOKO DOKO 32

新熊野神社と商店街

歴史ある古社が鎮座する古い商店街は、
懐かしい昭和をイメージするストリートだ。
文・写真 = 内藤靖正
K-5 + smc PENTAX-DA 17-70mmF4AL[IF]SDM(36mm域)を使用して撮影。絞り優先AE、絞り:F8、シャッタースピード:1/60秒、測光:分割測光、感度:ISO100、ホワイトバランス:AWB、カスタムイメージ:風景
1東大路通の歩道を覆うような新熊野神社のクスノキ。この商店街のシンボルだ。
※下の小さい画像をクリックすると拡大表示します。

青山豆十本舗

●午前9時~午後6時/火曜休み
●東山五色豆470円、カレービーンズ330円、黒みつカリント270円、そらまめせんべい420円など多彩。
075-561-4219

ゲベッケン東山店

●午前7時~午後6時/年末、年始以外は無休
●昔ながらのあんパン126円、手包みクリームパン137円、明太ポテト158円、抹茶バウム189円など。喫茶のモーニング580円、選べるパンセット、ケーキセット各680円(コーヒー飲み放題)
075-541-3433

※掲載内容は2011年8月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

2新熊野神社の本殿は代表的な熊野造り。京都市の有形文化財に指定されている。
 
3本殿裏の小高い所にミニ熊野古道がある。うっそうとした木立のなかの道だ。
 
4多彩な豆菓子、あられ、せんべいなどが人気の青山豆十本舗。京土産に最適。
         
     
5菓子パン、惣菜パンから焼き菓子、ケーキまで充実。ほぼ30年のゲベッケン。
 
6アーケードが続く今熊野商店街。南へ行くと泉涌寺、東福寺も徒歩至近距離。
 
ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。

多くの観光客が訪れる清水寺や三十三間堂の南寄りに位置する新熊野(いまくまの)神社は、紀伊(現・和歌山県)の本宮、新宮、那智宮、つまり「熊野の神」を信仰していた後白河上皇が平安後期の1160年(永暦元年)、法住寺殿の鎮守として勧請、創建した。

その後、応仁の乱によって荒廃、現在の本殿は1673年(寛文13年)に聖護院の道寛親王が再建したと伝えられている。祭神は「熊野十二社権現」の12神。本殿に那智大社の主祭神・熊野牟須美(むすび)大神を祭るほか、上社、中社、下社などにそれぞれの神が鎮座する。

境内のクスノキは樹齢800年、もとは熊野から移植した神木で、健康長寿や安産の守り神として広く信仰を集めている。

神社の前を南北に貫く東大路通の今熊野商店街は、昭和レトロの雰囲気を残すショッピングゾーンで、老舗や飲食店もある。

泉涌寺の参道に近い青山豆十本舗は1922年(大正11年)創業の豆菓子専門店。代表的な五色豆のほか、カレービーンズや黒胡椒(こしょう)そら豆など、バリエーションは30種以上。昔懐かしい黒みつカリント、そら豆せんべいなど、あられやせんべい類も多彩だ。

すぐ北隣のゲベッケン東山店は、こだわりの手作りパンが人気を集めている。昔ながらのあんパン、手包みクリームパン、マニトバ小麦粉を使ったダイアナソフトブレッドなど、菓子パン、惣菜パンまで70種類が並ぶ専門店だ。2階の喫茶室ではモーニングセットや選べるパンセット(コーヒー飲み放題)が喜ばれている。