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KOKO DOKO 10

嵐電を途中下車してぶらり。

寺から寺へ「シャトル電車」の嵐電北野線。ひと駅、ふた駅、駅間を歩く。
文・写真 = 内藤靖正
K20D + smc PENTAX-DA★ 16-50mmF2.8ED AL [IF]SDMを使用して撮影。絞り:F11、シャッタースピード:1/15秒、カスタムイメージ:雅
4大雲山龍安寺の大きい石標と総門。昔はこの道が参詣道だった。いまは嵐電利用の観光客らが石畳を行く。

北野天満宮に近い北野白梅町からは、単線の嵐電北野線が寺と寺をつなぐ「シャトル電車」の趣で昼間は10分ごとに発着。一日フリーきっぷ利用の観光客らも名刹(めいさつ)めぐりを楽しんでいる。

そんな人たちに交じって龍安寺駅で嵐電を降りると、小さな商店街が北へ続く。その途中にある禅豆腐ろくたはおいしい豆腐を商う老舗。豊富な地下水に恵まれ、豆腐作りには絶好の地なんだとか。2階のおしゃれな湯どうふ処(どころ)では、その日の朝に作った豆腐で湯どうふ、とうふ田楽、ひろうす煮付けなどのセットを懐具合の心配なしの値段で楽しめ、喜ばれている。

龍安寺はここで紹介するまでもない世界文化遺産に登録されている名刹で、臨済宗妙心寺派に属する禅寺。もとは貴族の別荘の地を宝徳2年(450年)に禅寺に改め、しだいに寺としての姿が整ったという。方丈(本堂)の南に広がる庭園は白砂のなかに5群15個の石組が配置された枯山水の代表作。方丈の修復工事のため、来年2月までは石庭にせり出したステージから鑑賞することになっているが、これまでと違った角度で見る枯(かれ)山水がすばらしい。

※下の小さい画像をクリックすると拡大表示します。
1始発の北野白梅町から2つ目がこの龍安寺駅。単線の北野線はここで上下線が離合する。昔から変わらぬ風景。
 
2いろりを囲む席も設けた湯どうふ処ろくた。朝作ったばかりの豆腐が出て人気。観光のお昼におすすめだ。
 
3龍安寺だけでなく、天皇陵への道しるべも並んで立つかいわいの道。歩いて回る観光客には親切な石標だ。
         
   
5せり出した仮設のステージから向き合う龍安寺の石庭。来年2月末まではこの近い場所から鑑賞できる。
 
6天井が高くて広い空間のカフェFUKUIはコーヒーやスコーンが評判。店内の書とネコの絵はママの作品。
 
7隠れた古刹の轉法輪寺は中国ふうの山門が人をひきつける。仁和寺の東にあり、周辺は静寂に包まれている。
         
   
8境内に迫力ある五智如来像が並ぶ五智山蓮華寺。4月、その周りでは華やかに桜が彩って雰囲気を盛り上げる。
 
9背丈の低い桜が圧倒的な花を咲かせる御室仁和寺。御殿の周辺でも珍しい種類の花が優雅に咲き乱れる。
 
10約2時間コースの御室八十八か所めぐりではハイキングやジョギングの人も。ここは結願の八十八番大窪寺。
         
     
11「近畿の駅100選」にも選ばれた嵐電の御室仁和寺駅。ここから嵐山に向かう観光客が多い木造のひなびた駅だ。
       
 

龍安寺

●午前8時~午後5時
●拝観料500円
075-463-2216

御室仁和寺

●午前9時~午後4時30分
●桜の入山料500円 /御殿の拝観料500円
075-461-1155

禅豆腐ろくた

●午前9時~午後6時30分(湯どうふ処ろくたは午前11時?午後3時)/火曜休み
●竜安寺禅豆腐、おぼろ豆腐、ソフトもめん、ひろうすなど各種。湯どうふは1,575円。
075-462-1123

FUKUI

●午前9時~午後6時/火曜休み(当分の間は不定休も)
●ブレンドコーヒー400円、カフェオレ450円、スコーン(2個)とコーヒーか紅茶セット650円、ベーグルとサラダ、コーヒーセット800円など。
075-463-9610

嵐電(京福電気鉄道株式会社)

URL:別ウインドウで表示http://www.keifuku.co.jp

※掲載内容は2009年2月時のものです。すでに変更されている場合がありますので、ご利用の際には必ずご確認ください。

龍安寺から御室仁和寺へ向かう途中、塔ノ下町の信号のすぐ東にカフェFUKUI(フクイ)がある。ここでは大きめのカップで出るおいしいコーヒーなどの飲み物のほか、スコーンが人気。新鮮なハムやチキン、チーズを使ったベーグルもおすすめだ。高い天井とゆったり配置された木のテーブルとチェア。心地よい空間が散策途中の疲れを癒やしてくれる。

塔ノ下町の信号を西に行くと中国ふうの立派な山門を構える轉法輪寺に出る。宝暦8年(1758年)創建の浄土宗の古寺だが、昭和4年(1929年)に北野から現在地に移転した。ふだん非公開だが一般参加できる涅槃会(ねはんえ)なども催しており、「どうしても、というときはご連絡を」ということである。

その南に薬師、大日、阿弥陀などの迫力ある五智如来像が並ぶ五智山蓮華寺がたたずむ。もとは御室仁和寺の奥の院として栄えていたが、移転して荒廃。昭和3年(1928年)にこの場所に移された。境内の石仏群は音戸山に離散していたものを集めて修復、安置したという。

嵐電のレトロ調21形2車両と、611形1車両をセットした「光るデラックストレインセット」は約3.7メートルのレールつき。単4乾電池1本でスルッと走る。嵐電の四条大宮、北野白梅町、嵐電の駅などで発売している。

その西側には世界文化遺産・御室仁和寺の境内が広がる。光孝天皇の意志を継いだ宇多天皇によって仁和4年(888年)に完成。明治維新のころまでは代々法親王を門跡に迎えて御室御所と呼ばれるようになった。中門から入ると五重塔、国宝の金堂が威容を誇り、周辺は遅咲きの桜の名所。粘土質の地層の関係で根が大きく張らず、そのため桜の木の背丈が低いのだという。ここでは宸殿、白書院、黒書院などからなる御殿と滝石組、築山、池泉で構成された庭園を鑑賞したい。

御室仁和寺の北側には標高230メートルの成就山に設けられた御室八十八か所がある。くねくねと約3キロ続く四国札所のミニ版。ちゃんとした小さなお堂が建っていて、それぞれの本場各寺の本尊が安置されている。約180年前の江戸時代後期、四国まで行けない人のために開かれたという。いまは季節に関係なく若者も熟年も歩く。頂上からの眺めも抜群でジョギング代わりでもご利益あり、だそうだ。

ないとう・やすまさ
1933年、京都市生まれ。広告代理店勤務の折に趣味ではじめた小冊子が京福電鉄のPR誌になったことなどにより1972年に独立。京福電鉄や東映太秦映画村の広告制作を担当する傍らフリーペーパー「Kyo!」発行。京都ピイアールセンター代表取締役。